インドの建造物として有名なのが、「タージ・マハル」です。実際にインドを訪れたことがない人でも、多くの人がタージ・マハルという名前を知っているでしょう。
しかし、タージ・マハルはいつ建てられたのか、魅力や見どころは何かと聞かれると、答えられない人が多いかもしれません。本記事では、タージ・マハルの歴史と魅力を中心に解説していきます。
観光でインドやタージ・マハルを訪れる予定がある人は、参考にしてみてください。
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インドのタージ・マハルとは?場所はどこにある?
最初にタージ・マハルの概要と、タージ・マハルの場所について解説します。初めてインドを訪れる人のために、国際線や電車での移動など、複数のパターンについて紹介します。
タージ・マハルとは?
タージ・マハルは、インドの北部にあるアグラという街に位置している歴史的な建造物です。タージ・マハルは、ムガール帝国の皇帝シャー・ジャハーンが愛する妻、ムムターズ・マハルの遺言を叶えるために作られた建造物で、彼女の墓もここにあります。
この建造物は白い大理石でできており、その美しさから世界中の人々を引きつけています。複雑で精巧な彫刻や宝石の装飾が施されており、インド・イスラーム建築の傑作として有名です。
タージ・マハルの周囲には美しい庭園もあり、訪れる人々を魅了し続けています。タージ・マハルは、インドの象徴とも言える存在であり、多くの人に愛されている歴史的な建造物です。
参照:インドのアグラについて徹底解説!住みやすさや観光スポットも紹介
タージ・マハルが世界遺産になった理由
タージ・マハルは、1983年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。タージ・マハルが世界文化遺産に登録された理由は、「人類の創造的才能を表現する傑作」に該当したためです。
大理石を贅沢に使用し、当時の建築技術を集結させて作ったこの建造物は、技術やテクノロジーが発展した現在でも貴重な遺産として知れ渡っています。世界中から観光客が訪れていることからも、タージ・マハルの歴史的価値は証明されています。
参照:UNESCO World Heritage Centre「タージ・マハル」
参照:【2024年決定版】インドの一度は行きたい世界遺産ランキングTOP15!
タージ・マハルへのアクセスは?
タージ・マハルへのアクセスは、主に国内線と電車を使う2つのパターンがあります。
まず、成田空港からタイのバンコクで乗り継ぎをし、インドの首都デリーにあるインディラ・ガンディー空港に到着します。インディラ・ガンディー空港からアグラまでは国内線で約40分、電車でアグラのカントンメント駅まで約2時間とタクシーで約15分ほどでタージ・マハルに到着します。
国内線の方が短時間でタージ・マハルへ到着できますが、便数が少ないのが難点です。そのため、インディラ・ガンディー空港からは電車とタクシーで移動する方法が一般的です。
デリーの他に、ムンバイやコルカタ(旧カルカッタ)などの大都市からも、電車でタージ・マハルへ移動できます。
インド国内を電車で移動する際は、事前予約が必須です。インドは人口が多いので、当日予約が難しい場合が多いためです。
バスでの移動もできますが、デリーからアグラまで約5時間程度かかるので、おすすめできません。
インドのタージ・マハルの歴史
タージ・マハルがどのような理由で建てられたのか、以下のテーマにスポットを当ててみました。
- タージ・マハルはお墓?いつ建てられた?
- 黒いタージ・マハルも作られる予定だった
タージ・マハルの歴史と背景について、詳しく解説していきます。
タージ・マハルはお墓?いつ建てられた?
タージ・マハルの歴史は、約400年前にさかのぼります。タージ・マハルは、1631年から1648年にかけて、ムガール帝国の皇帝シャー・ジャハーンの命令によって建設されました。
シャー・ジャハーンがこの建物を建てた理由は、深い悲しみと愛情に満ちています。それは、シャー・ジャハーンの最愛の妻、ムムターズ・マハルの遺言に「後世に残る立派なお墓に入れてほしい」という旨の言葉が残されていたためです。
ムムターズ・マハルは、シャー・ジャハーンからもっとも信頼された伴侶でした。ムムターズ・マハルの突然の死は、シャー・ジャハーンに大きな悲しみをもたらし、ムムターズ・マハルのための永遠の家、タージ・マハルを建設することを決意します。
タージ・マハルの建設には20,000人以上の職人と芸術家が関わり、インド全土はもちろん、中央アジアやイランからも多くの技術者が集まりました。タージ・マハルの建築プロジェクトは22年間にわたり、莫大な費用と労力を費やして完成します。
参照:TAJ MAHAL
黒いタージ・マハルも作られる予定だった
シャー・ジャハーンは、タージ・マハルの対岸に黒大理石を使った自身の廟を建設する予定でした。しかし、タージ・マハルの建設で国庫が底をついたことと、息子のアウラングゼーブ帝によってアグラ城に幽閉されたことで実現できませんでした。
シャー・ジャハーンは、幽閉された部屋の窓からタージ・マハルを眺めて暮らしたという逸話が残されています。タージ・マハルは、現在もインドの国宝として、また世界文化遺産として保護されています。
インドのタージ・マハルは左右対称?非対称?
タージ・マハルの特徴は、以下の通りです。
- タージ・マハルは左右対称が大きな特徴
- タージ・マハルで唯一左右非対称な場所
これからタージ・マハルを訪れる人のために、特徴と魅力を紹介していきます。
タージ・マハルは左右対称が大きな特徴
タージ・マハルは、左右対称な構造が特徴的です。中心のドームを中心にして、左右が完全に同じ形で設計されています。
タージ・マハルは、どの角度から見ても左右のバランスが保たれているので、非常に調和が取れていて美しいと観光客から好評です。この対称性は、タージ・マハルの美しさを際立たせる重要なポイントです。
タージ・マハルの左右対称は外観だけでなく、アーチや窓、そして装飾に至る細部まで対称性が保たれています。タージ・マハルの中央の部屋にあるムムターズ・マハルの墓は、正確に中心に位置しており、それを囲むように配置された部屋や廊下も左右対称になっています。
このような設計は、ムガール帝国の建築の特徴であり、世界的に見ても希少な建造物です。こうした緻密な設計と対称性により、タージ・マハルは単なる建造物以上の意味を持ち、美術作品のように賞賛されてきました。
タージ・マハルで唯一左右非対称な場所
外観から細部の装飾まで左右対称で有名なタージ・マハルですが、唯一左右非対称の場所が存在します。それはムムターズ・マハルとシャー・ジャハーンの棺が安置されている場所です。
2つの棺は隣り合って安置されていますが、この棺の大きさに若干の違いがあるため、タージ・マハルで唯一左右非対称の場所になっています。本来は黒いタージ・マハルを建設してシャー・ジャハーンの棺を安置する計画でしたが、実現しなかったので致し方ない措置だったといえるでしょう。
後世に残る世界文化遺産の中で夫婦揃って静かに眠れるのは、何よりも幸せなことかもしれません。
インドのタージ・マハルの見どころは?魅力的なスポット紹介
タージ・マハルを訪れる際にぜひとも観光して欲しい魅力的なスポットを紹介します。
- タージ・マハルの大楼門
- イスラム様式の庭園
- 白大理石の墓廟
- アグラ城からの眺め
上記はタージ・マハルの魅力を最大限楽しむために欠かせない場所です。それぞれの魅力について解説していきます。
タージ・マハルの大楼門
庭園に向かうと、正面に見えてくるのが大楼門です。高さ30m、横幅46mという巨大な門は、来場者を圧倒します。
タージ・マハルは白い大理石のイメージが強いですが、大楼門は赤い砂岩で作られています。大楼門にも随所に装飾や宝石が埋め込まれているので、ぜひとも写真に納めて欲しい場所です。
イスラム様式の庭園
大楼門の先には、美しいイスラム様式の庭園が広がっています。タージ・マハルは水路を使って庭園を4つに区分けしており、左右対称に広がっています。
この庭園は「チャールバーグ」と呼ばれていて、「チャール=4」「バーグ=庭」という意味です。庭園の鮮やかな緑が、タージ・マハルの白い大理石をより一層引き立てています。
白大理石の墓廟
タージ・マハルの一番の魅力は、やはり白大理石の墓廟です。世界中の観光客が、この墓廟を楽しみにタージ・マハルを訪れます。
大理石の雄大な建造だけでなく、細部の装飾や宝石など、一つひとつが貴重な遺産です。写真を撮る際は、庭園から真正面に墓廟を写すことをおすすめします。
アグラ城からの眺め
タージ・マハルを訪れる際は、アグラ城からの眺めもおすすめです。アグラ城は、タージ・マハルと同じくアグラ市内に位置する歴史的な城塞で、ここからタージ・マハルを望む景色は多くの観光客を魅了しています。
アグラ城自体も、歴史と美しい建築で有名な観光地です。アグラ城は、ムーガル帝国の皇帝たちによって代々使用され、インドの歴史において重要な役割を果たしました。
城内には宮殿やモスク、美しい庭園などがあり、それらを見学しながら城の歴史を感じられます。特に、アグラ城のムサンマン・ブルジからのタージ・マハルの眺めは絶景です。
ムサンマン・ブルジは白大理石の塔で、皇帝のシャー・ジャハーンが晩年を過ごした場所から「囚われの塔」と呼ばれています。タージ・マハルを建設したシャー・ジャハーンの歴史も相まって、アグラ城から見るタージ・マハルも人気スポットです。
インドのタージ・マハル観光前に知りたいこと
タージ・マハルを楽しむためには、観光前に以下の情報を調べておく必要があります。
- タージ・マハルのベストシーズン
- タージ・マハル観光におすすめの時間帯
- タージ・マハル観光での宿泊先
上記を調べておくことで、タージ・マハル観光をより一層楽しめるでしょう。
タージ・マハルのベストシーズン
タージ・マハルは1年中開放されていますが、訪問するなら天気の心配がいらない乾季がおすすめです。北インドの乾季は10月〜6月ですが、その中でもベストシーズンは10月〜11月と、2月〜3月です。
12月〜1月は天気そのものは良好ですが、濃霧が発生しやすいので、タージ・マハルをじっくり観光できる確率が下がってしまいます。4月〜6月は、猛暑の時期に入ってしまうので観光に適していません。
タージ・マハル観光におすすめの時間帯
タージ・マハルの開園時間は「日の出から日没まで」ですが、以下の理由から早朝の観光がおすすめです。
- 混雑しない
- 日の出の影響で墓廟がピンク色に見える
朝日が昇るときのタージ・マハルはとくに美しく、観光するなら写真に残したい瞬間の1つです。金曜日はイスラム教の集団礼拝があるので休日になっています。
タージ・マハル観光での宿泊先
タージ・マハル観光で一番心配なのが、宿泊先の確保です。タージ・マハルがあるアグラには、数多くのホテルがあるので安心して観光が楽しめます。
宿泊料金は一泊5,000円程度から20,000円程度まであるので、予算に応じてホテルを選びましょう。インターネット上で口コミを調べてみたところ、衛生面や料理も問題なく観光が楽しめたという意見が多数寄せられていました。
インドのタージ・マハル観光での注意点
タージ・マハルを訪れる際には、以下のような注意点があります。
- タージ・マハルのセキュリティ
- タージ・マハルの撮影禁止エリア
- その他の注意点
上記を知っておくことで、トラブルなくタージ・マハル観光が楽しめます。
タージ・マハルのセキュリティ
タージ・マハルでは、入場の際に厳しいセキュリティチェックが必要です。大きな荷物や飲食物、たばこやライターなどは持ち込みできません。
チケットを購入すると水がもらえるので、事前に用意しなくても観光できます。スマートフォンやカメラなど、最小限の荷物だけ持っていくようにしましょう。
タージ・マハルの撮影禁止エリア
タージ・マハルには、写真撮影が禁止されているエリアがあります。カメラ撮影ができるのはゲートから庭園までです。
宮殿の内部は一切撮影ができないので、気をつけましょう。ビデオ撮影は庭園の手前までに制限されています。
その他の注意点
タージ・マハル観光では、服装についても注意が必要です。タージ・マハルは宗教の観点からも重要な場所なので、肌の露出は控えたほうが無難です。
とくに女性は、歩いているだけで視線が集まりやすく、肌を露出してしまうと犯罪に巻き込まれやすいので、薄手の長袖やストールを使って肌を見せないようにしましょう。
さらに、世界文化遺産に指定されているタージ・マハルの敷地内では、ゴミのポイ捨てが厳しく禁止されています。貴重な世界文化遺産を守るために、ゴミの取り扱いにも気をつけてください。
まとめ:インドのタージ・マハルは歴史とロマンのある世界文化遺産
タージ・マハルは、世界文化遺産に登録されている貴重な建造物です。立派な大楼門やイスラム様式の庭園、白い大理石の墓廟など、見どころがたくさんあります。
タージ・マハルの周辺には数多くのホテルがあるので、宿泊先探しをしやすいのがメリットです。入場の際にセキュリティが厳しいので、カメラやスマートフォンなどの最小限の荷物だけ持って観光に行きましょう。
タージ・マハルは歴史とロマンがある場所なので、観光に行く前に本記事を読み進めてから訪れてみてください。