インドの三大祭典「ダシェラ」ってどんなイベント?由来や内容について詳しく紹介

インドの三大祭典のひとつとして知られる「ダシェラ」。インドについて詳しい方は、一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし聞いたことはあっても、どのような祭りなのかまではわからない方も多いですよね。

そこで今回は、お祭り好きなインド人にも人気の高いダシェラ祭りについて徹底解説します。祭りの由来やイベントの内容、さらにダシュラ祭りに欠かせない「ナバラートリ」についても紹介。インドのお祭りに参加してみたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

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インドの「ダシェラ(Dussehra)」とはどんな祭り?

インドの「ダシェラ(Dussehra)」は、ヒンドゥーの英雄が悪魔との戦いに勝利したことをお祝いする行事です。勝利や勝利の光景、善と悪の対立の終結といった意味を持つ祭りでもあります。

ダシェラは、毎年雨期に切り替わる10月頃に開催。インド全土がお祭りモード一色になります。

またインドの祭りの中でもひと際人気の高い祭りとしても有名で、1日のお祭りに対して9日間かけて準備が行われます。まずは、ダシェラ祭りの由来や内容からみていきましょう。

 
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写真のように、さまざまな神様に扮した人々を見られるのも面白いです!豪華な装飾品にも注目ですよ!

インドの三大祭典「ダシェラ」の由来

ダシェラは、「ディワリ(Diwali)」「ホーリ(Holi)」と並ぶインドの三大祭典のひとつ。英雄として崇められるコーサラ国のラーマ王子が、10日間かけて3人の悪魔と戦った末に勝利したという伝説「ラーマヤナ」が由来の祭りです。

「ラーマヤナ」は、悪魔にさらわれた妻シーターを救うためにラーマ王子が魔王ラーヴァナを退治するという英雄物語で、インド二大叙事詩のひとつとして有名です。

また「ラーマヤナ」は、日本のおとぎ話として有名な「桃太郎」の起源とも言われています。ダシェラ祭りの期間は伝説の英雄を讃えるためにさまざまな催し物が行われ、ひと目見ようと国外から多くの観光客が訪れます。

ダシェラ祭りのメインイベント

ダシェラ祭りのメインイベントは、ラーマーヤナのエピソードを題材とした舞台上演です。また祭りのクライマックスとして、3人の悪魔を象徴した大きな人形を燃やすというダイナミックなイベントも用意されています。

ダシェラ祭りは地域によっても特色が異なり、地域ごとにさまざまなイベントが楽しめるのも魅力です。

またラーマーヤナは、単なる悪魔退治ストーリーではなく、ラーマ王子の葛藤が詳細に描かれているのもポイント。ラーマーヤナの劇を見るなら、事前にラーマーヤナのエピソードを頭に入れておくのもおすすめです。

ダシェラ祭りに欠かせない「ナバラートリ(Navaratri)」とは?

ダシェラ祭りは、「ナバラートリ(Navaratri)」と言われるヒンドゥー教の聖なる母・女神達を祝うイベントも忘れてはいけません。ダシェラ祭りの由来であるラーマーヤナは9日間の戦いの末、10日目に決着をつけることで知られています。

そのため、ダシェラ祭りに向けた9日間の準備が必要です。その9日間の準備が「ナバラートリ」です。ここからは、ダシェラ祭りに欠かせない「ナバラートリ」について詳しく解説します。

ヒンドゥー教の母なる女神達を崇める「ナバラートリ」

ナバラートリは、9日を意味する「Nav」と夜を意味する「Ratri」を組み合わせて名付けられた行事です。ドゥルガー女神・カーリー女神・ラクシュミ女神・サラスヴァティー女神の4人の女神を崇めるために、9日間かけて断食を行います。

断食といっても9日間一切食事をしないのではなく、1日1食やフルーツのみ食べる方法、初日と最終日のみ断食する方法など、地域や家庭によっても方法が異なります。

1〜3日目:ドゥルガー女神・カーリー女神

1〜3日目は、「ドゥルガー女神」と「カーリー女神」を崇めます。ドゥルガー女神は「近づき難い者」を意味し、破壊神シヴァの配偶神(神妃)であるとされています。

また、カーリー女神もシヴァの配偶神。「黒」や「時間」を意味するカーラーを語源とし、破壊と殺戮の象徴とも言われています。

パールヴァティーの化身であるドゥルガー女神とカーリー女神は、自らの不浄な部分を打ち砕く存在でもあり、3日間かけて夜の祈りを捧げます。

4〜6日目:ラクシュミー女神

4〜6日目は、美と豊かさ、幸運を司る存在「ラクシュミー女神」を崇めます。ラクシュミー女神はヒンドゥー教の最高神のひとりであるヴィシュヌの配偶神で、インド神話にも登場します。日本では“吉祥天”という名前で知られており、手からお金を生み出す金運の女神としても有名です。

ラクシュミー女神は尽きることのない富を授けてくれる神として考えられており、3日間の祈りが捧げられます。

7〜9日目:サラスヴァティー女神

7〜9日目は、芸術・学問などの知を司る存在「サラスヴァティー女神」を崇めます。サラスヴァティー女神は、最高神のひとりであるブラフマーの配偶神。手にはヴィーナと呼ばれる弦楽器(琴)を持っています。

日本では琵琶を手にする七福神の一柱、弁才天(弁財天)として親しまれています。終盤の3日間は知識を司るサラスヴァティー女神へ祈りが捧げ、女神を称える9日間が終了。9日間の夜のお祈りを通して、人生におけるさまざまな成功を得ます。

ナバラートリの代表的な儀式

ナバラートリは、火を灯した水瓶を家の中の清浄な場所に置く「カラシュスタパナ」が代表的な儀式です。水瓶の中の火を世界を形作る原初的なエネルギーとし、期間中は間絶え間なく灯し続けます。

またナバラートリは魂を清める期間でもあり、自分を見つめ直して新たなことを始めるいい機会とも言われています。新たなスタートを切りたい方はナバラートリ中にインドに滞在し、9日間かけて祈りを捧げるのもよいでしょう。

ダシェラ祭りの開催場所と日程

ダシェラ祭りはインド全土で行われるため、期間中であればどの地域でも参加できます。基本的に10月中に開催されるのが特徴で、2024年は、第二土曜日である10月12日(土)です。

ナバラートリの期間は10月3日(木)〜11日(金)の9日間。ナバラートリとダシェラ祭りの両方を体験するなら、10月3日(木)〜12日(土)にインドに滞在できる日程を組むようにしましょう。

またダシェラ祭りに参加するなら、ヒンドゥー教の聖地である「バラナシ」とインドの首都である「デリー」がおすすめです。インドの中でもとくにダシェラ祭りを盛大に行う地域であり、観光客も多く集まります。

ダシェラ祭りに参加する際の注意点

ダシェラ祭りは、最終日に3体大きな悪魔の人形を燃やします。人形内に仕込んだ大量の爆竹が一斉に爆発するため、近づきすぎないように注意しましょう。

またダシェラ祭りでは、多くの屋台が出店されます。人混みが多いので、スリや置引きの被害に遭うケースも考えられます。とくに観光客が多く集まる地域は、狙われやすいのでスリ対策をしておくこともおすすめです。

 
kana
私が住んでいたデリー市内でもいくつかの場所で開催されます。多くの人が集まるので、参加する際には十分に注意してくださいね。

インドの人気行事「ダシュラ祭り」に参加してみよう!

「ダシュラ祭り」は、インドの歴史を知る上でも欠かせない行事です。ナバラートリの期間から参加することで、自分を見つめ直す機会や新たな挑戦への一歩を踏み出すことができるでしょう。また具体的なイベント内容や開催期間、注意点についても解説したので、ダシュラ祭りへの参加予定の方は、ぜひこちらの記事を参考に楽しい10日間を過ごしてみてくださいね。