インドの宗教と進出の関係について解説!気をつけるポイントについても紹介

「インドにはどんな宗教がある?」
「インドの宗教は進出に関係ある?」

このような疑問を持っていませんか。

インドには様々な宗教が混在しており、宗教によって価値観やルールは変わります。インドに存在する宗教がわからないとインドに住んでいる方と円滑なコミュニケーションがとれません。

そこで本記事では以下の内容について紹介しています。

  • インドに存在している4つの宗教
  • インドの宗教はインド進出と密接な関係性
  • インドの宗教関係で気をつけるポイント3つ

この記事を読むことで、インドの大部分を占めている宗教について理解でき、インドでビジネスを成功させるためのコミュニケーションを学べます。

「インドの宗教について知りたい方」や「インド進出を検討している方」はぜひ参考にしてみてください。

【基本知識から】インドの宗教は大きく分けて4つ存在している

インドの宗教は大きく分けて以下の4つがあります。

  1. ヒンドゥー教
  2. イスラム教
  3. キリスト教
  4. シク教(シーク教)

各教徒の割合を以下の表でまとめました。

宗教インド総人口からの割合
ヒンドゥー教79.8%
イスラム教14.2%
キリスト教2.3%
シク教1.7%
参照:法務省|インド:宗教的少数派

4つの宗教について順番に解説します。

ヒンドゥー教

ヒンドゥー教は、インドの中でも最大の宗教で、多くの神々を崇拝する多神教です。

有名なカースト制度はヒンドゥー教の原理と関連しています。現在、法律上では廃止されていますが、人々には根強く残っており、上位カーストにいた人が、下位カーストにいた人を襲うという事件があります。

牛は神聖な動物として崇拝されており、牛の肉を食べてはいけません。

日本で有名な七福神の一部の神様はインドの神様に由来しており、日本とインドでは関係している部分があります。

参照1:BBCニュース|殺されたのは、身分の高い人の前で食事をしたから……インドに根強く残るカースト制度
参照2:日本経済新聞|日本出身の神様はただ1人 七福神のミステリー

イスラム教

イスラム教はヒンドゥー教の次に大きい宗教で、アッラーのみを神とする一神教です。

イスラム教徒は「ムスリム」とも呼ばれ、インドの北部と東部の地域に集中しています。またムスリムは1日に5回、モスクに向かってお祈りします。

聖典コーランでは豚肉を食べてはいけないと記されているので、ムスリムは豚肉を食べません。

インドではムスリムが増えており、現在は世界第3位のイスラム教徒の人口を抱えています。2060年には現在世界第1位のインドネシアを抜いて1位になる見込みです。

参照:株式会社国際協力銀行|インドの投資環境/2023年2月 第1章 概観

キリスト教

キリスト教はインドでは約2%の人口が信仰しており、インド西武と南部に集中しています。

イエス・キリストに基づいて、カトリックをはじめ、プロテスタントやオーソドックスなど、さまざまな教派に分けられています。

インドとキリスト教には深い関係があり、日本でキリスト教を広めた「フランシスコ・ザビエル」の遺体は、インドのゴアにある世界遺産「ボム・ジーザス教会」にあります。

参照:AFPBB News|フランシスコ・ザビエルの遺体を公開、インド・ゴア

シク教(シーク教)

シク教は16世紀に始まった宗教で、富裕層の信者が多いです。
シク教徒は全体で約2,400万人おり、そのうちインドのバンジャーブ地方を中心に約1,600万人います。

かつてパンジャーブはイスラム教とヒンドゥー教が入り混じっており、バンジャーブに住んでいた地域民は徐々にイスラム教とヒンドゥー教に分断されました。

地域民の集団的な結束を高めるためにイスラム教やヒンドゥー教ではない新たな宗教であるシク教が始まったのです。その結果、シク教はヒンドゥー教とイスラム教に対立する宗教として、確立しています。

参照1:株式会社国際協力銀行|インドの投資環境/2023年2月 第1章 概観
参照2:JBpress|指導者殺害事件のシーク教とは?カナダ・インドの対立をもたらした宗教の歴史

インドの宗教は進出と密接に関係している

インドには、ヒンドゥー教をはじめ、様々な宗教が存在しています。各教徒は禁止していることやルールに従うので、異なる宗教を信仰している社員の組織化は難しいです。

さらに宗教対立にも注意していく必要があります。とくにヒンドゥー教徒とイスラム教徒は歴史的な背景から対立関係にあるので、トラブルになるかもしれません。トラブルの影響から、辞職してしまう社員もいる可能性があります。

社外で取引しているお客様にも注意が必要です。禁止していることやルールと異なる解釈をしてしまうと、お客様側が不快に感じて、取引を中止してしまう恐れがあります。

インドに進出する場合は、インドに混在する宗教のルールや背景を知っておくことをおすすめします。コミュニケーションが円滑にすすめられ、ビジネス上のやり取りがスムーズになるでしょう。

インドの宗教関係で気をつけなければならない3つのポイント

ここからはインドの宗教で気をつけなければならないポイントについて紹介します。
ポイントは以下の3つです。

  1. 「イエス」のジャスチャーは首を横に傾ける
  2. 左手をなるべく使わない
  3. 体には原則触れない

それぞれ順番に解説します。

「イエス」のジャスチャーは首を左右に傾ける

インドでは「イエス」と肯定するときは、首を左右に傾けます。日本人からすると、首を左右に傾けると、「話を理解していない」や「納得がいっていない」といった意味を表します。しかし、インド人は「その通りだ」と肯定しています。

さらにインドでは「ノー」と否定する場合でも、首を左右に傾けます。意見を肯定しているのか、否定しているのかわかりにくいので、慣れないうちは誤解するでしょう。

明確な違いではないですが、表情を見て肯定か否定かを判断するのがおすすめ。例えば以下のとおりです。

  • 微笑んでいる場合は、肯定している
  • 難しい表情の場合は、否定している

表情に注意しながら、相手の反応を理解しましょう。

左手をなるべく使わない

インドでは、左手は基本使ってはいけません。ヒンドゥー教の教えによると、排便した後に左手でお尻を拭くと説いています。

よって左手は「不浄の手」とされており、食事はもちろん、握手や物を受け渡しする場合でも、左手を使ってはいけません。ビジネスの場面で、握手や物の受け渡しは多いので、とくに注意しましょう。

しかし、大きい物の受け渡しは右手だけでは難しいので、左手も使われます。

左手を使っていけない場面は、人によって基準が違います。基本的にはタブーとされているため、原則使わないようにしましょう。

体には原則触れない

インドでは、原則体には触れないようにしましょう。日本では、少し仲良い人に対して、体を触れてコミュニケーションをとることが多いです。

しかしインドでは、高い信頼関係が成り立っていないと、故意に体に触れません。習慣や文化が異なるため、愛情表現で触れたつもりが、インド人にとって不快に感じることがあります。

ビジネスの場で、上司は部下を褒めるときに、部下の肩を叩く場合があります。部下がインド人だと、不快感を与えてしまうかもしれません。

また頭を触るのもタブーです。ヒンドゥー教では、頭は神が宿る神聖なものとして伝えられています。

何気ない接触は、インド人にとって不快に感じられるので、原則触らないようにしましょう。

まとめ:インドにある宗教を経営に有効活用しよう

今回の記事をまとめると、以下のとおりです。

  • インドの宗教は、多い順からヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、シク教である
  • 宗教対立によるトラブルも起こるので、組織を組む際は注意する
  • インドでは、ジェスチャーの意味に気をつけながら左手を使わず、故意に人に触れない

日本とは違い、多様な宗教が入り混じっています。宗教による相性も考えなければならないのが、インド進出の大きな課題になるでしょう。働くインド人が気持ちよく働くためにも、今回の記事を参考にしながら、宗教を有効活用するのがおすすめです。