インドにおいて、結婚式が重要視されていることを知っていますか?インドでは、日本の結婚式と異なる点が多くあると言われています。
そこで今回は、インドの結婚式の基本的な流れや伝統的なポイントなどを徹底解説します。またインドの結婚式にまつわる疑問についても詳しく紹介するので、インドの結婚式について知りたい方はぜひ最後までチェックしてみてください。
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インドの結婚式は長いってホント?
インドの結婚式は、平均で3〜5日行うと言われています。日本に比べて期間が長く、さまざまな儀式で新郎新婦をお祝いします。
また家庭によっては1週間以上行うケースもあり、最大で1ヶ月続くこともあるのが特徴です。またインドでは、準備期間から結婚式がスタートと認識する家庭があるとも言われています。
これらの事柄により、インドの結婚式が長いとされているのがわかります。
インドの伝統的な結婚式の基本情報
ここからは、インドの伝統的な結婚式における基本的なポイントをみていきましょう。
結婚式で着用するインド衣装
結婚式で着用するインドの衣装は、地域によって異なります。一般的に女性は「レヘンガ」と言われるシャツ(チョリ)とスカートに分かれた衣装を身につけ、男性はクルタにシェルワニを羽織るスタイルが多いです。
地域によっては、伝統的なアクセサリーを身につけたりセヘラ(sehra)と呼ばれる、目元を隠すカーテンを身につけるケースもあります。
結婚式に参列する人の衣装は?
インドの結婚式に参列する人は、決まった衣装があるわけではありません。そのため、ジーンズなどのカジュアルな服装でも参列可能です。
しかし基本的には、日本のように着飾っているケースが多いです。とくに女性は、新婦に匹敵するような煌びやかな衣装を身につける場合もあり、パーティーとして楽しむ傾向にあります。
インドの結婚式のスタイルは?
インドの結婚式は、日本の結婚式と違って立食スタイルが基本です。日本の結婚式のように席次表があるわけではないため、知人であれば基本的に誰でも参加できます。また屋外にテントを張ったり室内と屋外の両方が会場になっていたりと、各家庭によってお祝いの仕方が異なります。
また時間においても決まりがなく、日本の結婚式のように挨拶もありません。そういった背景も、インドの結婚式が長引きやすい理由と言えるでしょう。
インドで行われる結婚式の主な流れ
次に、インドで行われる結婚式の主な流れをみていきましょう。
インドの結婚式の1日目:ヘナタトゥーの儀式
インドの結婚式の1日目は、「ハルディ」と呼ばれるペインティングが行われます。ハルディは、家族や親戚によって、花嫁の顔と体にターメリックペーストを塗るのが基本。インドでは、ターメリックの鮮やかな黄色が幸運の色として認識されており、新郎新婦の門出を祝います。
ターメリックで全身を黄色に塗られたら、今度は「ヘナ(メヘンディ)」と言われるヘナアーティストが手足に模様を描く儀式が行われます。
ヘナタトゥーは、インドで幸運や喜び、美をもたらすものと考えられています。そのため、身体をヘナでペインティングすることには、幸せな結婚を祝う想いが込められているのです。
インドの結婚式の2日目:サンゲート・パーティ
インドの結婚式の2日目は、「サンゲート・パーティ」と呼ばれるダンスパーティが行われます。サンゲート・パーティでは、新郎新婦や両家の親戚、兄弟たちが各々の好きな歌や踊りを披露します。
お互いの好きなものを披露し合うことで、両家がひとつの家族として歩んでいくことを祝う儀式です。
またこのサンゲート・パーティは、両家の経済状況が大きく反映されるとも言われています。ホテルを貸し切って大々的に行う家庭もあれば、家庭でこじんまりと行う場合もあります。
両家の家族にとっては、このサンゲート・パーティが結婚式のメインと考えるケースもあるでしょう。
インドの結婚式の3日目:挙式
着飾る儀式とダンスの儀式を終えたら、いよいよ挙式です。3日目に行われる挙式当日の流れを順にみていきましょう。
当日の流れ1|バラート(新郎のパレード)
挙式当日は、「バラート」と呼ばれる新郎のパレードで幕を開けます。バラートは、新郎が白い馬に乗って街を練り歩きながら会場へと向かいます。
バラートには宗教的な意味合いはなく、町から町へと結婚のために移動したことが始まりだそうです。
挙式の準備は午後から行われるので、新郎によるパレードは日が落ちてから行われるケースがほとんどです。また人によっては、2時間近くかけて会場へと向かうこともあるとされています。
当日の流れ 2|ミルニ(家族の抱擁)
挙式会場へと到着すると、新婦側の親族が新郎側の親族を結婚式場の入り口で出迎える「ミルニ」という儀式が行われます。
ミルニは、挨拶と一緒に新婦の親族が新郎に対して素焼きのツボを差し出します。素焼きのツボは、単なる贈り物ではなくその場で割るためのものです。
そして新郎は、渡された素焼きのツボを片足で割って見せるのです。この儀式は大切な娘を相手に渡していいか、そして結婚するのに十分な力があるかを試す意味が込められています。
さらに結婚中におこるであろう困難に立ち向かう力があるかを見極めるといった意味合いがあるとされています。
素焼きのツボを無事に割ることができたら、いよいよ新婦とご対面です。
当日の流れ 3|ジャイ・マラ(花輪の交換)
挙式本番は、「ジャイ・マラ」からスタートです。会場では、「マラー」と言われるバラの花輪を交換します。新婦が新郎に花輪を渡すことで、結婚が成立したことを意味します。
日本でいうところの指輪の交換と同じ意味を成すと言えるでしょう。
またこの花輪には、聖なる意味合いがあるとされています。そのため結婚式のほかにも、神様に飾られたり受賞者や演奏者を祝福したりとお祝いの場で使用されます。
当日の流れ 4|バヴァーレ(火の儀式)
花輪の交換によって結婚が成立したら、最後に「バヴァーレ」が行われます。バヴァーレは、新婦の両親による聖なる火で新郎を祝福する儀式のことです。家族の存続や繁栄を祈願します。
バヴァーレは、新郎を結婚式場内にある祭壇へと新婦の両親が導くのが基本です。「アールティ」と呼ばれるハンドル付きの火を灯した香炉を円を描くように新郎にかざす方法で、不運や障害がなくなることを祈ります。
バヴァーレが終わると、結婚式のフィナーレとして髪の生え際に赤い粉を付ける「シンドゥール」の儀式を行います。この赤い粉は、既婚の証であることを意味するものです。
挙式の中でも最後の儀式は、時間を有します。そのため、挙式が明け方まで行われるケースもあるそうです。
インドの結婚式の4日目:ヴィダイの儀式
挙式を終えた翌日の4日目は、「ヴィダイ」と呼ばれる儀式で家族との別れを惜しみます。ヴィダイとは、ヒンディー語で「さようなら」を意味する言葉です。前日までの華やかさとは一変し、家族と共に涙を流しながらこれまでの感謝の気持ちを伝えます。
別れを告げた新婦は、新郎の家へと向かいます。新郎の家に到着すると、そこでは盛大な歓迎が待っており、新しい家族の一員になることを家族で祝います。
基本は、この4つの儀式で結婚式が行なわれます。しかし各家庭によっては、それぞれの儀式にたっぷりと時間をかけるケースもあるでしょう。
インドの結婚式にまつわる疑問集
最後に、インドの結婚式にまつわる疑問をまとめました。それぞれを順にみていきましょう。
インドの人々にとっての結婚式とは?
インドでは、結婚式を挙げると人生の第二段階に入ると信じられています。
ヒンドゥー教では一説に、結婚式に対して天国を意味するものという教えがあるそうです。とくに男性においては結婚が重要な義務であり、先祖への恩返しの一環とも考えられています。
また一度結婚した夫婦は、その絆が7世代先まで続くと言われているのも結婚を重要視する所以のひとつです。
こういった宗教による背景からも、結婚式を盛大にあげる理由が垣間見れます。
インドの結婚式シーズンは?
インドの結婚式シーズンは、11〜2月と言われています。この時期はインドが乾季に入り、雨季に比べて気温が低いのが特徴です。
また11〜2月に結婚式が集中する理由には諸説あり、ヒンズー教の暦で大安が多い季節であることが一説とされています。さらに宗教によって、結婚式を開催する時期が決められているといった話もあります。
結婚式シーズンにインドを訪れると、さまざまな場面で結婚式の様子が見られるかもしれません。
インドの結婚式の平均予算は?
インドの結婚式は、インドの中間層で15〜25Lakhルピー程度かかると言われています。日本円にすると約300〜500万円が平均予算です。結婚式にかける額は、日本の平均と大きく変わらない傾向にあります。
しかしインドの平均年収は、中間層で約80万円前後が基本。そのため、結婚式を挙げるために4〜6倍の費用がかかることがわかります。
インドの結婚式のご祝儀はどれくらい?
インドの結婚式のご祝儀は、およそ200ルピー(約380円)と言われています。500円にも満たない程度なため、一見不必要にも感じられるでしょう。
しかし各家庭では、ご祝儀と別に両親や兄弟、親戚からお祝いをもらうケースが多いです。
またご祝儀は、飾り付けをした首飾りを新郎の首にかけることで渡すのが一般的。200ルピーのご祝儀を入れた首飾りをかけることでお祝いを表すため、近所の方や関係があまり深くない方でも気軽に参加できるのがインドの結婚式のポイントです。
まとめ|インドの結婚式は圧倒的な豪華さが魅力!
インドの結婚式は、長さと豪華さが特徴です。一つひとつの儀式を行うと、結婚がより大切なものに感じられるかもしれませんね。国際結婚をするなら、インド式の挙式の挙げ方を体験してみるのもよいでしょう。今回は、インドの結婚式の流れから疑問点などを順に紹介したので、結婚式の挙げ方について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。