仕事でインド国内を移動する際に便利なのが、電車です。インドの電車を使えば、国内の長距離移動も可能です。
そんなインドの電車ですが、チケットの予約方法や乗車の際の注意点を知らないと現地で困ってしまうでしょう。そこで今回は、チケットの予約方法や乗車の際の注意点について解説していきます。
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インドの電車事情
日本とインドでは、電車事情も大きく異なります。
- インドの電車事情
- 電車のクラスと料金体系
上記を解説することで、インドの電車事情がわかるようになります。インドで電車に乗る予定の人は、参考にしてみてください。
インドの電車事情
インドの鉄道システムは、世界で4番目に大きな鉄道網を有しています。総延長126,366 km、ルート67,956 km、7,335駅で構成されています。
たとえば、デリーからカルカッタへの路線では、約1,500キロメートルを超える距離を結んでおり、日本の本州を横断する距離と大差ありません。インド鉄道は、毎日約13,523本の旅客列車と、9,146本の貨物列車の運行をおこなっています。
インドの鉄道は、デリーやムンバイ、コルカタなどの大都市間を結ぶ重要な路線から、遠隔地の小さな村をつなぐ地方線まで多岐にわたります。インドを訪れた際は、観光やビジネスの場面での利用が可能です。
参照:INVEST INDIA
電車の座席クラスと料金
インド鉄道では、以下のような座席クラスがあります。
コード | 名称 | エアコンの有無 | 座席タイプ |
1A | AC First | 有 | 寝台 |
2A | AC 2 Tier | 有 | 寝台 |
3A | AC 3 Tier | 有 | 寝台 |
SL | Sleeper | 無 | 寝台 |
EC | Executive Chair Car | 有 | 座席 |
CC | AC Chair Car | 有 | 座席 |
2S | Second Sitting | 無 | 座席 |
GN | General | 無 | 座席 |
1A〜3Aクラスには枕や毛布のサービスがあり、快適な電車の旅を楽しめます。食事付きを希望する場合は、1A・2A・EC・CCクラスを選びましょう。
料金は移動距離とクラスに応じて異なり、オンラインで確認できます。
インドの電車文化
インドの電車というと、混雑しているイメージとドアを開けっぱなしで走るイメージがあります。インドの電車文化を事前に知ることで、インド国内を快適に移動できるでしょう。
電車の混雑対策と乗車のコツ
インドの電車のなかでも都市部は、朝夕の通勤時間帯に非常に混雑します。混雑を避けるためには、予約システムを活用して指定席を確保することが大切です。
ピーク時には大きな駅でも人で溢れかえりますが、指定席を予約しておけば混雑に巻き込まれることなくスムーズに乗車できます。駅によっては手荷物検査が必要なところもあるので、荷物検査を求められたら応じるようにしましょう。
電車を利用する際は、混雑時間を避けることでより快適な移動が可能になります。
インドの電車がドアを開けっぱなしにする理由
インドのメトロは日本のように自動ドアですが、近郊電車ではドアを開けっぱなしで走行する光景をよく見かけます。これには以下のような理由があります。
- 定刻発車を優先している
- 女性の衣類巻き込みを防ぐ
インドの電車は非常に混雑しており、特に朝夕の通勤時間帯には人々が電車に溢れかえります。日本のようにドアが閉まるまで発車できないと、時間通りに発車できずにダイヤが乱れてしまうでしょう。
また、インドの女性は衣類に長い布を付けています。この布は自動ドアでは検知できないので、万が一ホームにいる女性の布を巻き込んでしまうと、重大事故になってしまいます。
しかし、ドアが開けっぱなしの状態は安全上のリスクも伴います。インドのムンバイ地区では、路線横断を含めて毎日7〜8人亡くなっているのが現状です。
インドの鉄道当局は安全対策として、新型の電車では自動ドアを設置するなどの対策を進めていますが、乗客自身も開いたドアからの転落には注意が必要です。インドの電車は文化や国民性の一面を映し出しているので、訪れる日本人にとっては興味深い体験となるでしょう。
インド鉄道のチケットを購入する方法
インド鉄道のチケットを購入するためには、以下の方法があります。
- 駅での購入
- オンライン購入
それぞれの購入方法について解説しています。
駅でのチケット購入方法
インドの駅では総合窓口がありますが、大都市の駅以外では旅行者の対応に慣れていません。大きな駅には外国人旅行者専用窓口が用意されているので、現地の電車を利用する際は外国人旅行者専用窓口を利用しましょう。
窓口での購入が不安な人は、事前にオンラインで予約しておく方法をおすすめします。
インド鉄道のオンライン予約方法
インド鉄道のチケットは、専用アプリ「IRCTC」や「cleartrip」を通じて簡単に予約が可能です。IRCTCの予約システムを使うためには、IRCTCのアカウント開設、cleartripの予約システムを使うためには、IRCTCのアカウント開設とcleartripのアカウント開設が必要です。
IRCTCでは、日本の電話番号やクレジットカードが使えるメリットがありますが、日本人にはcleartripのほうが手間をかけずにオンライン予約できるでしょう。予約状況の確認やチケットのキャンセル、変更もオンライン上で完結します。
インド国内を電車で移動する際は、上記のサイトを使ってみてください。
インドの鉄道事故
インドでは「今世紀最大の鉄道事故」と呼ばれる大きな事故が発生しました。
- 今世紀最悪の鉄道事故
- 鉄道事故時の緊急対応
上記を解説することで、現地で鉄道事故に巻き込まれた際に迅速な対応ができるようになります。インド国内を電車で移動予定の人は、必ず目を通してください。
今世紀最悪の鉄道事故
2023年6月、インド東部のオディシャ州で3本の列車が関連する衝突事故が起きました。この事故では、少なくとも275人の乗客が亡くなり、1,000人以上が負傷しました。
電車が誤った線路に進入してしまい、停車していた貨物列車に衝突したことが原因です。事故の衝撃で反対車線にはみ出した列車に、さらに列車が追突したことで被害が拡大しました。
インドでは過去にも度々大きな鉄道事故がありましたが、2016年以降は大きな事故はありませんでした。インドはアジアで初めて鉄道が導入された国ですが、その安全対策は完全とはいえません。
2019年には、主要都市を結ぶ昼行電車特急「バンデバラト・エクスプレス」が登場したこともあり、ますます安全対策が重要になっています。
参照:インドの列車事故の事例紹介|列車の問題点や乗車する際の注意点も解説
鉄道事故時の緊急対応
鉄道事故に遭遇した際は落ち着いて状況を把握し、鉄道職員の指示に従うことが最も重要です。鉄道職員の誘導に従って、迅速に避難しましょう。
また、非常時に備えて、携帯電話には常にインドの緊急連絡先を保存しておくことが重要です。インドの緊急時ヘルプライン番号一覧は、以下の通りです。
- 100:警察
- 101:火災
- 102:救急車
- 1033:国道緊急救援センター
- 104:医療ヘルプライン番号
- 1072:列車事故
- 1322:インド鉄道保安ヘルプライン
インドでは、緊急時に役立つモバイルアプリも多数提供されているので、事前に登録しておくことで緊急対応が可能になります。さらに、インド国内でiPhoneを使用している人は、サイドボタンを3回連続で押すことで緊急通報サービスにつながります。
緊急事態発生時の適切な行動は、自身だけでなく、他の乗客の安全にも重要です。このような状況でも落ち着いて的確な判断を下すことが、自身と他者の安全を守る上で最も効果的な手段となります。
インドの電車を安全に利用するためのコツ
インドの電車内での荷物の管理には、細心の注意が必要です。貴重品は身の回りに保持し、目立たない場所に隠しておきましょう。
たとえば、財布やパスポート、スマートフォンなどは内ポケットやベルトバッグなどの身体に密着する場所に保管すると安全です。バックパックやハンドバッグは盗難防止のために施錠し、常に視界内に置いておきましょう。
夜行列車では、バッグに鍵をかけるだけでなく、チェーンを使って柱にくくりつける必要があります。荷物をコンパクトにすることで、電車内での荷物の管理が容易になり、盗難や紛失のリスクも低減します。
電車を安全に利用するためには、できるだけ上のクラスのチケットを購入することも重要です。
インド鉄道の進化
インド鉄道は、現在でも新たな路線を作っています。
- 鉄道インフラの現状と改善計画
- 技術革新と新型車両の導入
上記を解説することで、インド鉄道の現在とこれからが分かるでしょう。
鉄道インフラの現状と改善計画
日本政府が2018年に発表した予算案では、インドのインフラ整備に向けて前年度予算を20%以上上回る5.9兆ルピー(約10兆円)を計上しました。その内、インドの鉄道整備には1.2兆ルピーの政府予算を投じています。
インド国内では、鉄道の高速化プロジェクトが進行しており、移動時間の削減と安全性の向上が期待されています。また、古い橋梁やトンネルの改修、信号システムの最新化なども進められており、鉄道事故の減少につながるかが注目です。
インドの鉄道プロジェクトは、インド経済の急成長にも密接に関連しています。ビジネスや旅行でインドを訪れる人にとっては、より効率的かつ安全な鉄道旅行が望まれています。
インドの高速列車プロジェクト
ムンバイとアーメダバードを結ぶ新しい高速列車プロジェクトでは、日本の新幹線方式で建設されています。2023年中に全線開業予定でしたが、現在もまだ完成したという報告はありません。
このプロジェクトは2017年に起工し、全長約500km、12駅が設置予定です。このような技術革新により、インド鉄道の時間効率と快適性の両立が実現される見通しです。
参照:日本とインドの関係|新旧の経済大国の今後についても解説
まとめ:インドの電車は現在も進化し続けている
インドの電車を利用するためには、駅でチケットを購入するかオンラインで事前予約が必要です。盗難やトラブルを防ぐために、なるべく高いクラスのチケットを予約しましょう。
インドではドアを開けっぱなしで走る電車もありますが、乗車する際は落下に十分に気をつけてください。万が一インドの電車で事故に巻き込まれた際は、上記の緊急ダイヤルや鉄道職員の誘導に従って速やかに対応してください。
インドは国土が広いので、ビジネスや観光で移動する際に電車を使うこともあります。この記事を参考にして、安全な列車での移動を楽しみましょう。