インドカレーの歴史っていつから?ヨーロッパの影響や日本に広まったきっかけも紹介

インドといえば、やっぱり「インドカレー」ですよね。インドを訪れるなら、一度は食べてみたいと思う方も多いでしょう。そんなインドカレーは、いつから食べられていた料理なのかを知っていますか?

今回は、インドカレーの歴史について紹介します。インドカレーの起源や由来、ヨーロッパ諸国の影響についても詳しく解説します。また、インドカレーの特徴や魅力も紹介するので、インドについてもっと詳しくなりたい方はぜひ最後までチェックしてみてくださいね!

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インドカレーの起源って?

インドカレーの歴史は非常に古く、その起源は紀元前3000年頃から存在したインダス文明にまで遡ることができます。インダス文明は現代のインド・パキスタンの一部に位置し、当時からスパイスの使用が盛んであったとされています。

インダス川流域に栄えたこの文明では、すでにスパイスを使った料理が存在。保存状態の良い土器や考古学的な発見から、当時の人々がターメリックやクミンなどのスパイスを利用していたそうです。インドカレーの基本となるスパイス文化は、この時代から形成されていたことがわかります。

またインダス文明が発展した地域はターメリックやクミンといったスパイスの栽培が盛んで、料理の風味づけに使用されていました。これらのスパイスは当時から料理や保存、薬用として使われていたことが推測されています。

とくにターメリックやクミン、コリアンダーは、古代から現代に至るまでインド料理の基盤を支えてきたスパイスです。しかし、当時のインドでは「カレー」という言葉は使われておらず、スパイスを使った汁状の料理を指すことが多かったとされています。インダス文明時代から続くスパイスの伝統は、現代のインドカレーにもそのまま受け継がれており、これがインドカレーの歴史の始まりと言えるでしょう。

インドカレーの発展はムガル帝国時代が関係している

インドカレーの歴史における重要な時期のひとつが、ムガル帝国時代です。ムガル帝国は、16世紀から18世紀にかけて北インドを中心に繁栄したインドの王朝です。

ムガル帝国のカレーは、スパイスの豊富な使用とともに、バターやクリーム、ナッツなどを使ったリッチな味わいが特徴。バターチキンやロガンジョシュなど、現代でも人気のあるインドカレーの多くは、この時代の料理法を受け継いでいると言われています。

カレーの由来と語源

「カレー」という名前の由来には、諸説あります。よく言われているのがタミール語の「カリル」(kaṟi)から派生したという説です。タミール語で「カリル」は「ソース」を意味し、これがヨーロッパへ伝わる過程で「カレー」となったと言われています。

1563年にポルトガル人のガルシア・ダ・オルタが初めて「カリール」という言葉をヨーロッパに紹介し、そこから広まったのもこの言葉の影響です。

また、オランダ人であるヤン・ファン・リンスホーテンが1595年頃に出版した『東方案内記』では、「インディエ人のカリールがなかなか美味」と語られています。これがヨーロッパにおけるインド料理の広がりのきっかけとなったと言えるでしょう。

このように、カレーの語源やその広がりには多くの国と文化が関与していることがわかります。

ヨーロッパ諸国のインド進出による影響とは?

インドカレーの歴史を語るうえで、ヨーロッパ諸国の影響は欠かせません。16世紀からヨーロッパ諸国がインドへと進出。貿易や文化交流が進むなかで、インド料理も変化を遂げました。そのなかでもポルトガルとオランダは、とくに重要な役割を果たしたと言われています。

ポルトガルの影響

ポルトガルは、最も早くインドに進出したヨーロッパ諸国のひとつです。1500年代初頭からインドと貿易を始め、香辛料や新しい作物をヨーロッパに持ち帰りました。また、「カリール」という言葉をヨーロッパに広めたのもポルトガルです。ポルトガル人の貿易と影響により、インドの料理がヨーロッパに広まり始めたと言えるでしょう。

オランダの影響

オランダもまた、インドカレーの歴史において重要な役割を果たした国です。1595〜1596年にオランダ人リンスホーテンが『東方案内記』で「インディエ人のカリールはなかなか美味」と紹介したことにより、ヨーロッパでのインド料理への関心が高まりました。

1641年にオランダはマラッカを奪い、スパイス戦争の勝者としてスパイス貿易を掌握しました。これにより、インドからヨーロッパへの香辛料の流入が増え、インドカレーを含むインド料理がさらに広まりを見せました。

またインドカレーの広まりには、オランダの東インド会社も大きな役割のひとつ。貿易活動を通じて多くの香辛料がインドからオランダへ運ばれたことにより、ヨーロッパの料理文化に大きな影響を与えたとされています。インドカレーは、ヨーロッパとインドの料理文化が交じり合うなかで、進化していったと言えるでしょう。

イギリスの影響

インドカレーがイギリスに伝わったのは、18世紀のことです。イギリスの植民地支配を通じてインド料理が自国に持ち帰られたことをきっかけに、その独特の風味が大いに注目されました。

またイギリスは19世紀になると、手軽にカレーを楽しむためにカレー粉を発明。カレー粉はインドのスパイスを模倣しつつも、より使いやすくするために小麦粉を加えてとろみを持たせたとされています。インドカレーはこのカレー粉の発明により、イギリスの家庭でも手軽に作れる料理として広く親しまれました。

インドカレーは、多様な文化の影響によって進化してきたこともわかります。

日本にカレーライスが広まったきっかけは?

日本においてインドカレーの影響が見られるのは、明治時代頃からです。イギリスを経由して伝わったカレーは、西洋料理のひとつ。スパイス豊かな風味ととろみ感の親しみやすさを日本風にアレンジしたのが、カレーライス誕生のきっかけです。日本独自のカレーライスは、米と一緒に食べることが基本。その平易さと味わい深さから瞬く間に国民食として定着しました。

またカレーライスが日本の家庭料理として広く普及したのは、大正時代以降。各家庭で簡単に作れることや、子どもから大人まで幅広い層に愛される味が支持された理由です。現代の日本では多様なバリエーションのカレーが提供されており、インドカレーの歴史と共に新しい料理の形が生まれ続けています。

インドカレーの特徴って?

インドカレーは、豊かな風味と香りが大きな魅力です。インドにおいて古くから培われてきたスパイスは、歴史のなかで独自の発展を遂げ、まさに鼻をくすぐる芳しい香りが特徴。これらのスパイスはただ料理をおいしくするだけでなく、心地よい香りをもたらし、食欲をそそります。

カレーの香りにはクローブやカルダモン、クミン、コリアンダーなど、数多くのスパイスが使われており、それぞれの特性が絶妙に調和することで独特な香りを生み出しています。

インドカレーとアーユルヴェーダとの関係

インドカレーの歴史を語る上で欠かせないのが、古代インドの伝統医学であるアーユルヴェーダです。アーユルヴェーダは、心身のバランスを整えるためにスパイスを利用するという理念に基づいています。インド料理では、ターメリックやクミン、コリアンダーなどのスパイスが頻繁に使用。これらは単なる風味付けだけでなく、健康増進や病気予防にも役立つとされています。

またインドカレーの発展と共に根付いた理念には、食事が医療の一部として機能するという考え方として知られる「医食同源」があります。インドでは、スパイスが持つ抗酸化作用や抗炎症作用が広く認識されており、日々の食事に取り入れることで健康維持に努めています。

具体的には、ガラムマサラに含まれるシナモンやクローブが消化を助けるといった効果があります。クミンやコリアンダー、ターメリックなどにも、抗炎症作用があるとされています。これらのスパイスを日常生活に取り入れることが、アーユルヴェーダの理想とする健康なライフスタイルに近づく方法となるのです。

日常生活への取り入れ方

アーユルヴェーダの知識を活かしてインドカレーを日常生活に取り入れることは、健康増進につながります。例えば、朝食にチャイ(スパイスティー)を取り入れることで、一日のスタートをスパイスの健康効果で彩ることが可能。また、夕食にスパイスをふんだんに使ったカレーを取り入れることで、消化を助けたり体調を整えたりすることができます。

さらにインドカレーの歴史を学び、各地域のスパイスや具材を取り入れることで、料理のバリエーションを増やし、より多くの健康効果が期待できるのもポイントです。北インドのコリアンダーを豊富に使ったカレーや南インドのココナッツを使用したカレーは、日本人の口にもよく合うので試してみるとよいでしょう。

インドカレーが持つ2つの魅力

インドカレーには、さまざまな魅力があります。そのなかでも、とくにチェックしておきたい2つの魅力について紹介しましょう。

健康と美容効果を持っている

インドカレーの魅力のひとつは、健康と美容効果が期待できることです。インドカレーには、ターメリックやクミン、コリアンダーなどのスパイスが豊富に使われています。各スパイスには抗酸化作用や抗炎症作用があり、美肌効果や免疫力向上効果にもつながるとされています。とくにターメリック(ウコン)に含まれるクルクミンは、さまざまな研究で健康効果が証明されています(※)。スパイスの効能を利用することで、日常の食事から健康をサポートすることができるのです。

※:ウコンと肝障害について

多様性がある

インドカレーは、多様性もひとつの魅力です。インドという広大な国土には非常に多くの地域があり、それぞれの地域ごとに異なる特色が見られます。例えば、パンジャーブ地方のカレーはクリーミーでリッチな味わいが特徴で、主にバターやクリームが多用されます。一方、ベンガル州のカレーは魚を中心としたものが多く、芥子油やマスタードを使ったスパイシーな風味が魅力です。

また、南インドのカレーはココナッツミルクやタマリンド、カレーリーフを多用することで有名です。そのため、南インドカレーのレシピは酸味と辛味の絶妙なバランスが特徴です。さらに、各地域の宗教的な背景や生活習慣もカレーに影響を与えており、ベジタリアンやヴィーガン向けのカレーも数多く存在します。

インドカレーは多文化共生の象徴でもある

インドカレーは、多文化共生の象徴としても注目されています。インドが発祥の地であるインドカレーは18世紀にイギリスに伝わり、その後に日本やほかの国々にも広まりました。インドカレーは各地でその国の食文化と融合し、独自の発展を遂げてきました。日本のカレーライスもその一例です。

このように、インドカレーは国境を越えて様々な文化を取り入れながら進化してきた料理であり、多様性の象徴となっています。インドカレーは現代社会においても、異文化を理解し尊重するきっかけになるかもしれません。

 
kana
インドカレーは、スパイスの効能はもちろん、その香りが食欲をそそりますよね!暑さの厳しいインドの夏には、香り高いスパイスカレーがぴったりです!

インドカレーの歴史を知って楽しみ方を増やそう!

インドカレーは、紀元前から親しまれているインドを代表する料理のひとつです。歴史のなかでもさまざまな進化を遂げて、今日わたし達が口にしているインドカレーが生まれたことがわかります。またインドカレーの要ともいえるスパイスとインドの関係性についても理解できたことでしょう。

インドカレーを楽しむ際は、ぜひ今回ご紹介したインドカレーの歴史を考えながら味わってみてはいかがでしょうか。