インドへの旅行を計画しているワイン愛好家にとって、インド産のワインも楽しみの1つではありませんか?
伝統的なワイン産地といえばフランスやイタリアを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はインドにもワイン文化が広がっています。
この記事では、インド産ワインの歴史と特徴、訪れるべきワイナリー、おすすめの銘柄、そしてワイン購入ガイドを紹介します。
新しいワインの発見がインド旅行をさらに特別なものにしてくれるでしょう。
インド産ワインの歴史と特徴
ワインと聞くとフランスやイタリア、近年ではチリなどが名産地として有名ですが、インドのワイン産業も古代から始まっていました。
- 古代から現代までのワイン生産の歴史
- インドの主要なワイン産地
- インドで栽培される主要なぶどう品種
まずは、インドのワインの基礎知識を身につけてみましょう。
古代から現代までのワイン生産の歴史
インドのワイン生産は、紀元前4世紀頃の古代文明にまで遡るとされています。インダス文明の時代にはすでにぶどうの栽培が行われていました。
当時の交易路を通じてヨーロッパからワインやぶどうの文化が伝わった可能性があると考えられています。
しかし、17世紀頃まで盛んだったワイン生産は、イギリスの植民地支配中に起きた病虫害の影響で一度途切れました。
インドでの本格的な商業ワイン生産は、1980年代に入ってから行われます。
特に、経済の自由化とともに、ナシック、ベンガルール、プネーといった地域で大規模なワイン生産が始まりました。
インドの主要なワイン産地
インドのワイン生産は主に、ナシック、ベンガルール、そしてプネーといった地域で行われています。
これらの地域は標高の高い丘陵地帯に位置し、温暖で乾燥した気候がぶどう栽培に適しているためです。
ナシックは「インドワインの都」として知られています。
標高約600メートルの丘陵地帯で育てられるぶどうは、昼夜の温度差が大きいことで糖度と酸度のバランスが取れた高品質なワインを生み出します。
また、ベンガルールは比較的涼しい気候が特徴で、シラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンといった赤ワインに使われるぶどうの品種が高品質です。
プネーも見学できるワイン農園が複数あるので、観光目的でも楽しめます。
インドで栽培される主要なぶどう品種
インドでは、世界的に有名な以下のぶどう品種が広く栽培されています。
- シラーズ
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- ソーヴィニヨン・ブラン
シラーズは、インドの温暖な気候で育つとスパイシーでフルーティーな香りが際立つワインに仕上がります。
一方、カベルネ・ソーヴィニヨンは濃厚で力強い味わいが特徴で、長期熟成に耐えられる赤ワインとして高く評価されています。
ソーヴィニヨン・ブランは、爽やかな酸味とトロピカルフルーツの香りが特徴で、インド料理との相性が良いことでも有名です。
ワイン愛好家におすすめしたいインドのワイナリー
インドでは数多くのワイナリーが存在しますが、特に有名なのが以下のワイナリーです。
- スラ・ヴィンヤーズ
- グローヴァー・ヴィンヤーズ
どちらのワイナリーからも高品質なワインが販売されているので、歴史や特徴を解説します。
スラ・ヴィンヤーズ(Sula Vineyards)
インド西部のナシックにある「スラ・ヴィンヤーズ(Sula Vineyards)」は、インド最大のワイナリーとして広く知られています。
このワイナリーでは、1997年にソーヴィニヨン・ブランとシュナン・ブランを植樹し、2000年に初のワインを完成させました。
スラ・ヴィンヤーズのワインはインド国内だけではなく、国際市場でも高い評価を受けていて、その名を聞いたことがあるワイン愛好家も少なくありません。
スラ・ヴィンヤーズの魅力はその生産規模だけではなく、さまざまな体験ができることです。
ワイナリーの敷地には広大なぶどう畑が広がり、観光客は美しい風景を楽しみながら、ワインの製造工程を見学できます。
見学ツアーではぶどうの栽培から収穫、ワインの醸造、熟成までの全工程を学べるため、ワインの知識を深める良い機会となるでしょう。
また、スラ・ヴィンヤーズにはワインテイスティングルームが併設されているので、ワインの味わいをじっくりと楽しめます。
テイスティングでは多様なワインを試せるので、特に人気の「Sula Rasa」や「Sula Sauvignon Blanc」を試飲して欲しいですね。
さらに、併設されたレストランでは、インド料理とワインのペアリングを楽しめます。
グローヴァー・ザンパ・ヴィンヤーズ(Grover Zampa Vineyards)
ベンガルール近郊に位置する「グローヴァー・ザンパ・ヴィンヤーズ(Grover Zampa Vineyards)」は、インドでも有数の高品質ワインを生産するワイナリーとして有名です。
このワイナリーは1992年に設立され、インドにおけるワイン製造の草分け的存在で、フランスの伝統的なワイン製造技術を取り入れていることが特徴です。
1998年に「La Réserve」を発売して以来、数々のワインを製造してきました。
グローヴァー・ザンパ・ヴィンヤーズでは、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズといった赤ワインの品種が特に高い評価を受けています。
これらのワインは、熟成を重ねることで豊かなボディと複雑な味わいを生み出し、インド国内外のワイン愛好家から支持を集めてきました。
ワイナリーツアーでは、ぶどう畑の見学から始まり、収穫、発酵、熟成、瓶詰めに至るまでの全工程を詳しく学べます。
特に、ワイン熟成のためのセラーを訪れる際には、グローヴァー・ザンパ・ヴィンヤーズ独自のワイン作りの哲学に触れられるでしょう。
ツアーの最後には同ワイナリーのフラッグシップワインである「La Réserve」などを試飲する機会があり、その深い味わいや香りを堪能できます。
フランスの技術とインドの風土が融合したグローヴァー・ザンパ・ヴィンヤーズのワインは、まさにインドワインの真髄を体現しています。
ベンガルール周辺の気候や観光スポットは、以下の記事を参照してください。
参照:【進出必見!】インドのバンガロールを解説!進出をおすすめする理由も紹介
インド産ワインのおすすめ銘柄3選
インドには愛好家から人気のワインが複数ありますが、今回は厳選して以下の3種類を紹介します。
- Sula Rasa
- La Réserve
- Sula Sauvignon Blanc
それぞれタイプの異なるワインを選んだので、インドのワインを試してみたい人は参考にしてください。
Sula Rasa:スラ・ヴィンヤーズ
スラ・ヴィンヤーズの「Sula Rasa」は、インドの赤ワインを代表する銘柄です。このワインはシラーズ種のぶどうを使用し、濃厚で辛口な味わいが特徴です。
シラーズは温暖なインドの気候に適しているため、Sula Rasaは豊かな果実味とバランスの取れた酸味を兼ね備えたワインです。
Sula Rasaは、熟成が進むことでブラックベリーやプラムの濃密なフルーツの香りと、スパイシーなペッパーのニュアンスが感じられます。
口当たりは滑らかで、適度なタンニンがあり、後味にはチョコレートやオークの余韻が広がります。
Sula Rasaは赤身の肉料理やグリル料理と相性が抜群で、特にステーキやラムチョップなどと合わせると、より美味しく召し上がれるでしょう。
シラーの本場、名門ギガルの本拠地シャトー・ダンピュイで開催された「2010年シラー・デュ・モンド」で銀賞を受賞している高品質なワインなので、ワイン愛好家だけでなく赤ワイン初心者にもおすすめの品です。
La Réserve:グローヴァー・ザンパ・ヴィンヤーズ
グローヴァー・ザンパ・ヴィンヤーズの「La Réserve」は、インドのプレミアム赤ワインの1つとして国際的にも高い評価を得ています。
このワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズをブレンドしたもので、ベリー系の豊かな香りとスパイシーな味わいが特徴です。
La Réserveはしっかりとしたタンニンとバランスの取れた酸味を持ち、ブラックカラントやプラムの濃厚な風味が楽しめます。
また、熟成することでオーク樽からくるバニラやスモークの香りが加わり、複雑で奥深い味わいが広がります。
La Réserveは特にローストした肉料理やスパイシーなインド料理とよく合い、ディナータイムに特別な1杯として楽しむ際に最適です。
La Réserveは「2016年アジアワイン・シルクルートアワード金賞」を受賞していて、インド国内だけではなく、海外からも評判の良いワインです。
Sula Sauvignon Blanc:スラ・ヴィンヤーズ
白ワイン好きにおすすめしたいのが、スラ・ヴィンヤーズの「Sula Sauvignon Blanc」です。
このワインは、インドの暑い気候でもフレッシュさを保てるソーヴィニヨン・ブラン種のぶどうから作られています。
その結果、Sula Sauvignon Blancは爽やかな酸味とともに、トロピカルフルーツやシトラスのフレッシュな香りが楽しめるワインに仕上がっています。
このワインは、軽やかで飲みやすいのが特徴で、特に暑い季節や昼間の食事と合わせるのに最適です。
インド料理との相性も抜群で、スパイシーなカレーやタンドリーチキンなどと合わせると、その爽やかさが料理の風味をより一層引き立てます。
Sula Sauvignon Blancは、「IWCCA インディアン・ワイン・コンシューマーズ・チョイス・アワード2016 金賞」を受賞し、国際市場でも広く流通している白ワインです。
インドでのワインの選び方と注意点
インドでお土産にワインを購入する際は、ワインショップの選び方や注意点を知らないと相手が喜ぶワインを見つけられません。
- ワインショップの選び方と価格帯
- 日本へのお土産に最適なインド産ワインの選び方
- インドからワインを持ち帰る方法と注意点
インドから帰る際は厳重な梱包が必要なので、空港で没収されないように本項を参考にしてください。
ワインショップの選び方と価格帯
インド国内には多くのワインショップやスーパーマーケットがあり、これらの店舗ではさまざまな価格帯のワインが取り揃えられています。
一般的に、750mlのボトルは980円程度から購入可能で、手頃な価格で楽しめるのが特徴です。
国内ブランドのワインは輸入コストがかからないため、輸入ワインよりもリーズナブルな価格設定になっていることが多いのが特徴です。
しかし、品質を重視するのであれば、ワイナリー直営のショップや信頼のおける専門店で購入しましょう。信頼できる店舗では1本1本丁寧に管理されたワインが販売され、保存状態も良好です。
また、ワインの専門知識を持つスタッフがいるため、購入前にアドバイスを受けられます。
特に、インドの高温多湿な気候ではワインの保管条件が品質に大きく影響するため、信頼できる場所での購入がおすすめです。
日本へのお土産に最適なインド産ワインの選び方
インド産ワインをお土産に選ぶ際には、スパークリングワインや高品質な赤ワインが特に喜ばれます。
これらのワインは、インドの風土を感じさせるスパイシーな味わいを持ち、日本では手に入りにくいものが多いため、特別感もあります。
例えば、「Sula Brut」は、インド産スパークリングワインの中でも人気が高く、お祝いの席にぴったりの品です。
赤ワインなら「Grover Zampa La Réserve」が最適です。フルボディで深みのある味わいがあり、ワイン愛好家へのギフトとしても非常に喜ばれます。
お土産用にワインを選ぶ際は、相手の好みに合わせたワインを選ぶのがポイントです。
瓶のラベルやデザインもギフトの魅力を高める要素となるため、パッケージにも注目して選ぶと良いでしょう。
インドからワインを持ち帰る方法と注意点
インドで購入したワインを日本に持ち帰る際には、いくつか注意が必要です。まず、航空会社の規定に従ってワインを梱包することが大切です。
通常、ワインボトルは専用のワインボトルバッグやエアクッション付きの保護材でしっかり包むことが推奨されています。これにより、輸送中の破損を防止できます。
日本にワインを持ち込む際には、税関での申告が必要です。免税範囲内であれば税金はかかりませんが、規定量を超える場合は関税が発生します。
インドからのワイン持ち出しに関する最新の規則を事前に確認しておくと、スムーズに通関手続きが行えます。
さらに、ワインの劣化を防ぐために、帰国後はできるだけ早く冷暗所に保管しましょう。できるだけ早く温度管理すると、インドで購入したワインの品質を保ち、最良の状態で楽しめます。
インドのワインは評価が高いのでお土産にも最適
インドは、ワイン生産国として新たに注目を集める国です。
古代からのぶどう栽培の歴史を持ちながら、1980年代以降に急速に発展した現代ワイン産業は、ナシックやベンガルールなどの地域で高品質なワインを生み出しています。
インド特有の気候と風土が育んだワインは、フレッシュでフルーティーな味わいが特徴で、スパークリングワインの生産も盛んに行われています。
インドを訪れる際は、ワイナリーを訪れてその土地ならではのワイン文化を体験してみましょう。
インドでのワイン購入は、価格の手頃さと品質の高さが魅力です。
ワインショップやスーパーマーケットでの購入はもちろん、信頼できる店舗やワイナリー直営ショップでの購入を選ぶことで、より満足度の高い体験が得られます。
ワイン愛好家にとっても、インド旅行は魅力的な体験になります。ワインを含めたインド国内での飲酒事情については、以下の記事で詳しく解説しているので渡航前にご確認ください。