【危険】インドの交通事情|深刻な渋滞やクルマの利用方法を解説

仕事や旅行でインドを訪れた際に悩むのが、交通事情ですよね。

空港から目的のホテルや観光地へ行くためには、何らかの交通手段を利用しなくてはいけません。

しかし、インドと日本の交通事情を同じと考えるのはとても危険です。今回は、インドの危険な交通事情について解説します。

これからインドを訪れる予定がある人は、最後までご覧ください。

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クルマと牛!?インドの独特な交通事情

インドの道路

インドでの移動は、電車を使うかバスやタクシーなどの道路を使うことになります。

しかし、初めてインドの道路を見た人は衝撃を受けたかもしれません。インドの独特な交通事情について解説します。

無法地帯のような道路事情

インドの道路状況は日本人にとっては驚きの連続です。交通ルールが存在するにも関わらず、現状は無法地帯と呼べるほど守られていないのが特徴です。

運転手は頻繁に信号無視や急な車線変更を行い、バイクやオートリキシャ、トラックなどが混在し、殺伐とした交通状況を作り出しています。

さらに、インドの道路上には牛や犬、さらには馬などの動物が普通に歩いています。

これらの動物はインドの宗教で神聖視されているため、クルマはそれを避けながら進むのが一般的です。このような状況が、インドで交通事故を増加させる一因となっています。

道路には信号機が少なく、あっても頻繁に故障していることが多いです。歩行者もクルマと同じ道路を歩くため、混乱はさらに増しています。

 
kana
私が乗っていた車が牛にぶつかったことがあります。ドライバーに「大丈夫?」と尋ねると、「僕はクリスチャンだからノープロブレム!」と答えましたが、「ノープロブレムじゃないよ!」とつっこみたくなりました。

インドの首都デリーの交通事情は特に深刻

特に、インドの首都デリーは経済活動が集中しているため、渋滞が深刻です。デリーの道路は、広い幹線道路から狭い裏道まで、どの道もクルマで溢れかえっています。

デリーの交通問題をさらに悪化させているのが、公共交通機関の不足です。メトロやバスは存在しますが、利用者数が多過ぎるあまり、常に満員になっています。

そのため、多くの人が自家用車や二輪車を利用することになり、結果として道路の混雑が増しています。

通勤時間帯には、車両の移動がほとんど不可能になることもあり、短距離の移動であっても数時間かかることも珍しくありません。

これにより、インドでは移動がストレスになってしまい、生活の質にも影響を与えています。こうしたデリーの交通事情は、インド全体の交通問題の縮図といえます。

 
kana
インドの交通渋滞は本当に深刻です。特に駐在員にとっては最大のストレス要因と言えるでしょう。

日本の約60倍!?インドの死亡事故統計

車道を歩くインド人

インドでは、以下のように毎年多くの交通事故が発生しています。

2020年2021年2022年
死亡事故件数127,307142,163155,781
重傷事故件数112,768126,394143,374
軽症事故件数110,314119,633135,360
無傷事故件数21,79224,24226,797
合計372,181412,432461,312

引用:ROAD ACCIDENTS IN INDIA 2022

2022年には、インド全土で461,312件の交通事故が報告されました。

前年に比べて事故件数は11.9%、死亡者数が9.6%増加していて、インド国内で発生する交通事故の深刻さが際立っています。

日本の2022年の交通事故件数と比較してみます。

死亡事故件数2,550
重傷事故件数24,799
軽症事故件数273,490
無傷事故件数データなし
合計300,839

引用:公益財団法人 交通事故総合分析センター

インドの死亡事故件数は、日本の約60倍という結果になりました。インドの主な交通事故原因としては、以下のような要素が挙げられます。

  • 過密な道路状況
  • 未整備の道路インフラ
  • 劣悪な運転マナー

インド政府はこの問題に対処するために、2019年に自動車法を改正して交通違反に対する罰金を大幅に引き上げるなどの対策を講じました。

また、道路インフラの改善や交通マナーの強化など、多角的なアプローチで交通事故の減少を目指しています。

日本と比較すると、インドの交通事故数は約50倍に達しており、日本人がインドを訪れる際には、この現実を理解し、十分な注意を払うことが求められます。

交通ルールの違いや現地の運転習慣を理解することで、より安全な旅行が実現できるでしょう。

インドの交通渋滞がひどい理由

インドの高速道路の渋滞

インドの交通渋滞は、旅行者だけではなく国民にとっても深刻な問題です。

特に、都市部では日常的に渋滞が発生しているため、大きなストレスと不便をもたらしています。インドで渋滞が発生する主な原因は、以下のとおりです。

  • 道路の未整備
  • クルマの増加
  • 公共交通機関の不足

それぞれの理由について、詳しく解説します。

道路やインフラの未整備

インドの多くの都市では、道路インフラの整備が追いついていません。インドの道路を見ると、穴が開いている道路も見られます。

このような道路状況は、クルマやオートリキシャのスムーズな通行を妨げる一因です。
また、信号機や交通標識の設置が不十分なので、交通の流れや混乱が増加しています​ 。

クルマの増加

経済の発展にともない、インドでは自家用車や二輪車の保有台数が急増しています。

ジェトロ(日本貿易振興機構)のデータによると、2023年度のインド国内での自動車販売台数は、4,218,746台でした。

特に都市部では、自動車の普及率が高く、道路上に多数のクルマがひしめき合う状態です。これにより、交通量が増加し、渋滞が常態化しています。

公共交通機関の不足

インドの公共交通機関は、需要に対して十分ではありません。

人口増加に対してバスや鉄道の運行本数が少なく、多くの人々がクルマやバイクを利用することを余儀なくされています。

結果として、道路上の車両数が増加し、渋滞が悪化します。政府はメトロや高速バスシステムの導入を進めていますが、未だその効果は限定的です​。

都市部の急激な成長

インドの都市部は現在進行形で急速に成長していて、人口も増加の一途をたどっています。この人口増加に対してインフラ整備が追いついておらず、結果として交通渋滞が発生しています。

特に、新興の商業地区や住宅地では計画的な道路整備が行われていないため、交通の流れがスムーズでないことが多いのが現状です​。

インド滞在中に利用する交通手段とその特徴

オートリキシャ

インドを訪れた際は、何らかの交通手段を利用しないと目的地へたどりつけません。インドで利用されている主な交通手段は、以下のとおりです。

  • 電車
  • バス
  • タクシー
  • ライドシェア
  • オートリキシャ

オートリキシャは日本では見かけないサービスなので、それぞれの特徴を詳しく解説します。

電車

インドの電車は国内最大の交通手段で、長距離移動に便利です。広範な鉄道ネットワークを持ち、都市間の移動を効率的に行うために重宝します。

特に、インドの長距離列車は寝台車を備えているので、睡眠をとりながら快適な旅ができます。

しかし、インドの電車は非常に混雑しているので、繁忙期には乗車券の予約が困難です。また、遅延が発生することも珍しくありません​ 。

また、乗車券のクラスによって盗難リスクも増加するので、電車を利用する際は注意が必要です。インドの電車については、以下の記事で詳しく解説しています。

参照:インドの電車はドアが開けっぱなし?チケットの予約方法と注意点も解説

バス

バスは都市間や都市内での移動に便利な交通手段です。大都市を中心に、多くの人々にとってバスは主要な交通手段です。

日本と同様にインドのバスは料金が安価なので、幅広い層の人々が利用しています。ただし、乗客が多いので、しばしば非常に混雑します。

長距離バスは夜行便が多く、寝台バス(スリーパーバス)なども利用可能です。

寝台バスは支払い方法が限られている点や、乗車する際に運転手と電話のやり取りをするケースがあるので覚えておきましょう。

タクシー

タクシーは比較的快適に移動できる手段なので、観光客にとっても手軽に利用できる交通手段です。

しかし、料金が高めなので、事前に運転手と料金交渉を行うことが重要です。多くのタクシーはメーターを使用しないため、法外な料金を請求されるトラブルも発生しています。

インドでタクシーを利用する際は、信頼性の高いタクシー会社を選ぶか、ホテルで手配することをおすすめします。

ライドシェア

近年、UberやOlaなどのライドシェアサービスがインドで普及しています。

これらのサービスはアプリで簡単に呼べるため、インドの観光地やホテルまで移動する際に非常に便利です。UberやOlaは安全性も高く、女性や観光客には安心して利用できる手段です​​。

注意点としては、日本のクレジットカードではUberやOlaの決済はできません。支払いにはインドの通貨ルピーが必要になるので、事前に換金しておきましょう。

インドのルピーを換金する際の注意点やレートについては、以下の記事で詳しく解説しています。

参照:インドの通貨ルピー(INR)のレートは?両替方法やルピーの注意点を解説

オートリキシャ

オートリキシャ(オート三輪)は、インドの町中で広く利用されている交通手段です。タクシーと比べて運賃は安価で、現地の雰囲気を肌で感じることができます。

空港や駅の周辺ではオートリキシャから声をかけられますが、法外な料金を請求されるケースが多いので断るようにしましょう。

少し離れた場所のオートリキシャと値段の交渉をするか、ライドシェアで呼ぶのが無難です。

まれに到着時に法外な料金を請求してくる人もいますが、事前の言い値を言って強気で対応すれば問題ありません。

インド滞在中に上記の交通手段を利用する際には、それぞれの特性を理解して移動を心がけることが大切です。インドのおすすめの観光スポットについては、以下の記事を参考にしてください。

参照:【最新版】インドのおすすめ観光スポット15選!注意点やベストシーズンも紹介

インドの交通事情でよくある質問

インドの一般道

日本人にとってインドの交通事情は特殊なので、多くの質問がインターネット上で投げかけられています。

今回はインドの交通事情でよくある質問と、その回答を紹介します。

インドでの交通事故の原因は?

インドでの交通事故の原因には、以下のようなものがあります。

  • 無謀な運転
  • 交通ルールの無視
  • 道路の未整備

インドでは多くの運転手がスピードを出し過ぎたり、危険な追い越しを行ったりします。特に夜間は視界が悪くなるので、事故が多発する時間帯です。

また、信号無視や一時停止無視など、交通ルールが守られないことも珍しくありません。インドでは日本のように交通ルールを守る意識がないので、自己中心的な運転が交通事故に発展しています。

さらに、インド国内の道路は舗装状態が悪く、亀裂や陥没が多いのが特徴です。これが原因でクルマやバイクが制御不能になり、事故が発生しやすくなっています。

インドでクラクションを鳴らすのはなぜですか?

インドではクラクションはコミュニケーション手段として使われたり、前方の車両や歩行者に対して自分の存在を知らせたりするために頻繁に使用されます。

狭い道路や混雑した場所では、クラクションを鳴らすことで自分の進行方向を示し、衝突を避けるために多用されています。

その結果、インドの都市部ではクラクションが常に鳴り響いているのが当たり前になりました。クラクションを聞いても特に反応する必要はありません。

 
kana
インドでは、車のクラクションが本当に絶え間なく鳴り響いています。日本に帰国した際、外の静けさに驚きました。

インドのハンドルは何ハンドルですか?

インドの車は日本と同じ右ハンドルです。これはイギリスの植民地時代の名残で、日本と同じく左側通行も採用されています。

そのため、日本人にとっては運転しやすい印象がありますが、インド特有の激しい渋滞や交通ルールの欠如、運転習慣には注意が必要です​。

旅行でインドを訪れる際は運転をせず、タクシーやオートリキシャを手配して移動しましょう。

まとめ:インドの交通事情は危険が多い

違法運転をするインド人

インドでは日本のように交通ルールを守る意識がないので、急な車線変更や信号無視が日常化しています。

また、道路には牛や犬なども普通に歩いているため、交通事故件数が多い国として認識されています。

インドでは運転をせず、タクシーやオートリキシャを手配するか、バスや電車などの公共交通機関を利用して移動しましょう。

インド旅行を予定している人は、以下の記事で世界遺産について解説しているので参考にしてください。

参照:【2024年決定版】インドの一度は行きたい世界遺産ランキングTOP15!