インドの国旗に込められた意味とは?歴史とインドと似てる国旗も紹介

インドの国旗といえば、三色の帯が独特のデザインになっています。インドの国旗はイメージできる人が多いと思いますが、どのような意味が込められているか知っていますか?
今回は、インドの国旗に込められた意味、由来、歴史を中心に解説していきます。インドの歴史や成り立ちに興味がある人は、参考にしてみてください。

インドの国旗の由来と歴史

掲げられたインド国旗

まずはインドの国旗の由来と歴史について解説していきます。

  • インド国旗の歴史
  • インド国旗の誕生背景
  • デザインの国際的な認識

上記に触れることで、インドの国旗の由来について理解できるでしょう。

インド国旗の歴史

インドは長い歴史を持つ国なので、その時代によって国旗も変わってきました。

1906年のインドの旗

引用:FOTW Flags Of The World website「India: Historical Flags」

インドの国旗が最初に掲げられたのは、1906 年8月7日にカルカッタのパルシーバガン広場 (緑の公園)です。ガンジー国立博物館の情報を参照しましたが、記録によっては上の帯と下の帯の色が逆だったと記載されています。

1907年、この旗は国際社会主義会議でシュトゥットガルトに掲げられました。

1921年のインド独立運動の旗

引用:FOTW Flags Of The World website「India: Historical Flags」

1921年には、イギリスからの独立を目指したガンディーが独立運動の象徴として新たな旗を掲げます。この旗には、当時支配していたイギリスの機械文明に対抗するため、伝統的な糸車を中央に配置しています。

1931年の独立運動の旗

引用:FOTW Flags Of The World website「India: Historical Flags」

その後、この旗は1931年に再びデザインが変更されました。現在の国旗と同じ3色の帯の中心に糸車が配置されています。

1931年8月31日にこの旗が初めて掲揚されたため、国旗の日として宣言されました。

インド国旗の誕生背景

1947年、イギリスからの独立を果たしたインドは、正式に国旗を制定することになります。

イギリスから独立したことで、独立のシンボルだった糸車が不要になったインドは、代わりにアショーカ・チャクラと呼ばれる輪を配置しました。1941年12月3日にベルリンで公式なインド国旗として初めて掲揚されたのが、現在のインド国旗です。

新しい国旗には独立の中心的な存在だったガンディーの要望は入りませんでしたが、最終的にはガンディーも現在の国旗を受け入れます。

インド国旗のデザインと意味

インド国旗をイメージした糸

インドの国旗の特徴は、3色の帯と中央のアショーカ・チャクラです。このデザインには、宗教を重んじて歴史と多様な国民性を受け入れるインドの方向性が込められています。

サフラン・白・緑の帯の意味

サフラン、白、緑の帯には、それぞれ以下のような意味が込められています。

  • サフラン:勇気と犠牲、ヒンドゥー教
  • 白:静謐(せいひつ)と平和、統一
  • 緑:公正と騎士道、イスラム教

インド国旗の上部にあるサフランは、勇気と犠牲、ヒンドゥー教の象徴です。この色は、国の自由を勝ち取るために闘った人々の勇気と、その過程で払われた多くの犠牲を表しています。

中央の白は静謐、平和、純粋さを意味し、インドの人々が追求すべき道徳的価値と調和の精神を象徴しています。穏やかな性格の人が多いインドらしい意味合いと言えるでしょう。

下部の緑色は公正、騎士道、イスラム教を表し、インドが公正な社会になって欲しいという願いとイスラム教への敬意を表現しています。

この3色の帯は、インドの国民とその理想を象徴しています。

参照:インドの宗教と進出の関係について解説!気をつけるポイントについても紹介

国旗の中央にあるアショーカ・チャクラとは?

インド国旗の中央に配されたアショーカ・チャクラは、別名法輪と呼ばれています。このアショーカ・チャクラは、インドで初の統一王朝となったマウリヤ朝第3代の王アショーカ王が由来です。

インド中央に位置するボーパールには、アショーカ王が眠るインド最古の仏教遺跡があります。その仏塔に法輪が彫刻されており、仏教のシンボルとして採用されました。

法輪に描かれた24の車軸は1日の24時間を表し、永遠と輪廻転生の思想を象徴しています。また、青は空と海の象徴でもあります。

国旗が持つ統合の力

インドの国旗は、多様な文化、言語、宗教を一つに結びつける統合の象徴です。サフランはヒンドゥー教、緑はイスラム教、法輪は仏教と異なる宗教を表しているためです。

それぞれの宗教の象徴を国旗に描くことで、多様な文化を受け入れて国民全体が団結することを目標としています。

インド国旗と似ている国旗

世界の国々の国旗

インド国旗と似ている国旗は複数あります。

  • アイルランド
  • コートジボワール
  • 二ジェール
  • ミャンマー

それぞれの国旗のデザインと由来について解説していきます。

アイルランド

アイルランド国旗

イギリスの西側に浮かぶアイルランドの国旗は、縦に3つの帯が描かれているのが特徴です。色は左から緑、白、サフランとインドと同じ配色です。

緑はカトリック教徒、白はカトリック教徒とプロテスタント教徒の調和、サフランはプロテスタント教徒を表しています。デザインはフランスを参考にしたと伝えられています。

この国旗は1937年に制定され、現在もアイルランドを象徴するシンボルです。

コートジボワール

コートジボワール国旗

コートジボワールは、西アフリカに位置する国です。コートジボワールの国旗もアイルランド同様に縦にサフラン、白、緑の帯が描かれていますが、アイルランドとは順序が異なります。

コートジボワールの場合、左からサフラン、白、緑が配置されています。アイルランドの国旗よりもサフランの色が明るいのも特徴です。

コートジボワールの国旗では、サフランが反映とサバンナ地帯、白が平和と南北の統一、緑が将来への希望を表しています。コートジボワールは1960年にフランスから独立しているため、フランスの国旗から影響を受けている部分もあります。

二ジェール

ニジェール国旗

ニジェールもアフリカに位置する国です。ニジェールの国旗もアイルランドやコートジボワールと同様にサフラン、白、緑の帯が描かれていますが、インドと同じ横並びなのが特徴です。

色も上からサフラン、白、緑とインドと同じ配列ですが、ニジェールは中央にサフランの円が描かれている点がインドと異なります。サフランはサハラ砂漠と独立、白は平和と純潔、緑は土地の繁栄を表しています。

ニジェールもコートジボワールと同様にフランスの植民地でしたが、1960年に独立しました。

ミャンマー

ミャンマー国旗

ミャンマーの国旗は、2010年に現在の国旗に変更されました。インドと同様に、横に3本の帯、中央には白い星が描かれているのが特徴です。

色は上から黄色、緑、赤が配置されています。黄色は国民の団結、緑は平和と自然、赤は勇気と決断力を表しています。

欧米諸国の中には現在の軍主導の政権を認めず、過去のビルマという国名で呼び続けている国も少なくありません。ミャンマーの国旗は、地理的だけでなく民族的に1つの国として団結する願いを込めてデザインされています。

まとめ:インドの国旗には宗教への敬意と統合が込められている

インドの神殿

インドの国旗の色はヒンドゥー教とイスラム教に関する色と、仏教に関わる中央のアショーカチャクラで構成されています。多様な民族と宗教観を持つインドでは、それぞれを尊重していくことで経済的、文化的に発展してきています。

インドの国旗は、独立前と現在ではデザインが変わっているので、気になる人は独立のシンボルになった過去の国旗も参考にしてみてください。

また、インドの国旗と似たデザインの国もあります。アイルランド、コートジボワール、ニジェール、ミャンマーなどの国旗は帯の位置や色がインドと似ていますが、それぞれに意味は異なります。

インドの国旗には、過去の歴史と宗教、これからの国としての在り方が込められていました。