インド旅行を計画するなら、現地の祝日を押さえておくことが大切です。祝日を理解することでその土地の文化や習慣に触れ、より深い旅行体験ができるためです。
本記事では、インドの主要な祝日や祝日を考慮した旅行計画の立て方を紹介します。祝日に開催される祭りについても解説するので、これから旅行計画を立てる人は参考にしてください。
インドの主要な祝日
インドには日本と同様に多くの祝日がありますが、特に重要な祝日を3つ紹介します。
- ディワリ
- ホーリー
- 独立記念日
それぞれの祝日には特別な祭りやパレードが行われるので、詳しく解説します。
ディワリ(Diwali)
ディワリはインドで最も重要な祝日の1つであり、毎年10月から11月にかけて盛大に行われます。別名「光のフェスティバル」とも呼ばれるこの祝日は、インド最大の宗教ヒンドゥー教の暦で正月にあたるためです。
約5日間にわたって家や街中にディヤと呼ばれるオイルランプが灯され、花火や爆竹が鳴り響きます。ディワリは、ヒンドゥー教の神であるラーマ王子が悪魔ラーヴァナを倒して王国に凱旋したことを祝う祭りです。
また、富と繁栄の女神ラクシュミーを讃える祭りでもあります。
ディワリの期間中は家族や友人と集まってお菓子を贈り合ったり、新しい服を着たりして過ごします。ディワリは光が闇に勝利することを象徴しており、人々の心を温かく照らす特別な祝日なのです。
ホーリー(Holi)
ホーリーは春の訪れを祝うカラフルな祝日で、毎年3月下旬に行われます。この祝日には老若男女が社会的な垣根を越えて、互いに色粉を塗り合ったり色水を掛け合ったりして楽しみます。
ホーリーの由来には諸説ありますが、一般的には、悪魔ホーリカーが炎の中で焼死したことを祝うとされています。また、恋人同士が互いの身分を忘れて交流できる特別な日でもある特別な日です。
ホーリーの前夜にはホリカの人形を焼く「ホーリカー・ダハン」が行われ、翌日の朝から色粉や色水を使った祝祭が始まります。街中が鮮やかな色に染まり、人々は歌や踊りを楽しみながら春の訪れを喜びます。
ホーリーは、冬の終わりと春の始まりを告げる活気に満ちた祝日なのです。
参照:インドのカラフルな春の祭典ホーリー祭の歴史と魅力・注意点を徹底解説
独立記念日(Independence Day)
インドの独立記念日は、1947年8月15日にイギリスから独立を果たしたことを祝う国民の祝日です。この記念すべき日には首都のニューデリーの旧連邦議会議事堂前で、首相が国旗を掲揚し独立宣言を行います。
また、各州の州都でも同様の式典が行われ、パレードや文化イベントが開催されます。
独立記念日は多様な文化や言語を持つインドの団結を象徴する日であり、国民が一丸となって自由と平等の理想を追求することを誓う日でもあります。
この特別な日に、人々はインドの過去の闘争と犠牲を忘れず、明るい未来に向かって前進する決意を新たにするのです。
参照:インドがイギリスから独立するまでの歴史|ラーマやガンディーの活動も解説
【2024年版】インドの祝日カレンダー
インドにあるその他の祝日を表でまとめました。今回は、2024年版のカレンダーを使ってニューデリーの祝日を紹介します。
インドは州によって祝祭日が異なるので注意しましょう。
日付 | 祝祭日名称(日本語) | 祝祭日名称(現地語など) |
1月26日 | インド共和国記念日 | Republic Day |
3月25日 | ホーリー(水掛け祭) | Holi |
3月29日 | 聖金曜日 | Good Friday |
4月11日 | イスラム教断食明け祭 | Id-ul-Fitr |
4月17日 | ヒンドゥー教ラーマ神生誕日 | Ram Navami |
4月21日 | ジャイナ教マハビラ生誕日 | Mahavir Jayanti |
5月23日 | 釈迦生誕日 | Budha Purnima |
6月17日 | イスラム教犠牲祭 | Id-ul-Zuha |
7月17日 | イスラム教新年 | Muharram |
8月15日 | インド共和国独立記念日 | Independence Day |
8月26日 | クリシュナ神生誕日 | Janmashtami |
9月16日 | イスラム教ムハンマド生誕祭 | Milad-un-Nabi(Prophet Mohammad’s Birthday) |
10月2日 | マハトマ・ガンジー生誕日 | Mahatma Gandhi’s Birthday |
10月12日 | ヒンドゥー教ダシェラ祭 | Dussehra |
10月31日 | ディワリ(ヒンドゥー教新年祭) | Diwali(Deepavali) |
11月15日 | シーク教ナナック生誕日 | Guru Nanak’s Birthday |
12月25日 | キリスト教クリスマス | Christmas Day |
インドの祝日期間中に旅行するメリットとデメリット
インドの祝日期間中は、通常と異なるインドを体験できます。祝日期間中に旅行するメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。
祝日期間中の旅行のメリット
インドの祝日期間中に旅行すると、以下のようなメリットがあります。
- 現地の祝祭的な雰囲気を直接体験できる
- 普段は見られない特別なイベントに参加できる
- お得なショッピングが楽しめる
特に普段は見られないパレードや祭りに参加できるのが、祝日期間中に旅行するメリットです。
現地の祝祭的な雰囲気を直接体験できる
インドの祝日によっては街中がお祭りムードに包まれ、人々が伝統的な衣装を身にまとったり歌や踊りを楽しんだりする姿を目にできます。ディワリではライトアップされた街や家々、ホーリーでは色鮮やかな色粉が舞うなど、現地の文化を肌で感じられます。
現地の人も祝日は特別な気分になっているので、いつもより会話が弾みやすいのもメリットです。ただ、不用意に知らない人についていかないように気をつけましょう。
普段は見られない特別なイベントに参加できる
祝日によっては、伝統的な儀式やイベントに参加するチャンスがあります。ホーリーでは観光客も色粉を買って現地の人と一緒にイベントを楽しめます。
また、イベントによっては限定の食べ物が食べられる機会もあるので、通常のインド料理とは異なる郷土料理を食べられるかもしれません。
お得なショッピングが楽しめる
祝日期間中は多くの店舗が特別販売を行うため、お得な買い物ができます。特に、土産品や衣類、装飾品などを通常よりも安い価格で購入できるチャンスです。
祝日ならではの賑やかな雰囲気の中で、店員も値引きに応じてくれる可能性が高くなります。
祝日期間中の旅行のデメリット
一方で、インドの祝日期間中の旅行には以下のようなデメリットも存在します。
- 交通機関や宿泊施設の混雑
- 移動時間の増加
- 店舗や施設の休業
- 料金の割増
祝日は店舗や施設が休業になる可能性が高いので、目当ての店の営業状況を確認しておく必要があります。
交通機関や宿泊施設の混雑
多くの人々が祝日を利用して旅行や帰省をするため、飛行機や電車のチケットは取りにくく、価格も平日よりも高騰する傾向にあります。人気の観光地やホテルは早期から満員になりやすいので、早めの予約が必要です。
移動時間の増加
交通機関の混雑により、移動に予想以上の時間がかかることがあります。インドの渋滞は平日も深刻化していますが、祝日はより一層渋滞がひどくなり到着時間が予測できません。
店舗や施設の休業
祝日期間中は多くの店舗や施設が休業するため、計画通りに行動できないことがあります。レストランや観光スポットが閉まっていたり営業時間が限られていたりする可能性があるので、観光する場所を決めている場合は周辺の飲食店や観光スポットを調べておきましょう。
料金の割増
飲食店やサービスを利用する場合、祝日割増が適用されるため食費やサービス利用費が通常よりも高くなる傾向にあります。支払いでトラブルにならないよう、予算を多めに設定しておく必要があります。
祝日を考慮した旅行計画の立て方
インドの祝日を考慮して旅行計画を立てる際には、以下のような点に注意しましょう。
- 混雑を避けるための工夫
- 祝日に関する情報を入れておく
特に、快適な旅行にするために移動やお店の混雑を避けるための工夫は重要です。
混雑を避けるための工夫
旅行を計画している時期に、どのような祝日があるのかを事前に調べましょう。祝日の日程や期間を把握することで、旅行日程を適切に組み立てられます。
もし旅行期間中に祝日がある場合、道路や電車、飛行機まで混雑する可能性が高いので、移動方法を考えておく必要があります。特にインドの電車は平日でも混雑しやすいので、オンラインからグレードの高い座席を早めに予約しておくのが大切です。
また、宿泊施設の予約も重要です。旅行を計画していても、宿泊施設が決まらないと身の安全が確保できません。
可能であれば、オフシーズンの祝日を選ぶと混雑を回避できる可能性があります。有名な観光地だけではなく、地元の人に人気のスポットを訪れるのもおすすめです。
祝日に関する情報を入れておく
また、祝日に関する情報を入れておくことで、旅行をより深く楽しむことができます。例えば、ディワリはヒンドゥー教の神ラーマが14年の流浪の末に故郷に凱旋したことを祝う祝日で、先祖の霊を供養する習慣があります。
このような祝日の知識を持っていると現地の人々との会話が弾み、より充実した交流ができるでしょう。
最後に、旅行中は柔軟な姿勢を持つことが大切です。海外旅行では、予期せぬ出来事やスケジュールの変更は付き物です。
現地の人々と交流してその土地ならではの文化を肌で感じながら、臨機応変に対応していきましょう。インドの祝日を味わえると、忘れられない旅になるはずです。
祝日ごとのおすすめ観光スポットと体験
インドの祝日には、それぞれおすすめの観光スポットがあります。ディワリ、ホーリー、独立記念日の3つの主要な祝日に焦点を当てて、おすすめの観光地や体験をご紹介します。
ディワリ:ジャイプールのイルミネーションマーケット
ディワリの期間中は、インド各地で盛大なイベントが開催されています。その中でも、ラージャスターン州にあるジャイプールでは、豪華なイルミネーションが魅力です。
気の早いお店では、約1ヵ月前からイルミネーションの準備を始めることもあり、一般家庭も日本の正月のように事前に大掃除を済ませます。数日前になると、ナッツやドライフルーツを使ったお菓子が出回り、一気にお祭りムードになります。
街中で爆竹が鳴り響き、誰もがお祝いムード全開になるのがディワリの特徴です。花火なども見られるので、ディワリを楽しみたい人にはジャイプールがおすすめです。
参照:【2024年決定版】インドの一度は行きたい世界遺産ランキングTOP15!
ホーリー:プシュカルの神秘的な宴
初めてホーリーに参加する人には、ラジャスタン州のプシュカルがおすすめです。プシュカルのホーリーはデリーやバラナシほど過激ではなく、音楽や料理を楽しめるためです。
また、プシュカルには湖があるので、湖畔で神秘的な夜を楽しめます。夜の外出は女性にとって性被害のリスクが急上昇するため、大人数で行動するか複数の男性がいる時に訪れてみてください。
参照:インドのカラフルな春の祭典ホーリー祭の歴史と魅力・注意点を徹底解説
参照:インドでレイプ事件が多い原因は?過去の事例と5つの対策についても解説
独立記念日:デリーの首相演説
独立記念日には、デリーの旧連邦議会議事堂やインド門を訪れるのがおすすめです。旧連邦議会議事堂前では独立記念日の公式行事が行われ、国旗掲揚式や首相の演説を見学できるためです。
インド門は第一次世界大戦とアフガン戦争で亡くなったインド兵を追悼するモニュメントであり、独立記念日には花輪が捧げられます。デリーはもともと人口が多いため、人混みを利用したスリや強盗も発生します。
デリーには、他にも世界遺産のフマユーン廟やアクシャルダム寺院などの観光地があるので、周辺の観光もおすすめです。デリーに限った話ではありませんが、インドは決して安全とは言い切れないので、自分の身や荷物は自分で守るよう注意しましょう。
参照:インドのニューデリーについて解説!|デリーの違いと進出についても
インドの祝日に楽しめる体験
インドの祝日では、各地で伝統的な踊りや音楽のパフォーマンスが行われます。ディワリではラーマ王子の帰還を再現する「ラーマリーラ」、ホーリーではカラフルな民族舞踊、独立記念日には愛国的な歌や踊りを鑑賞できます。
祝日を楽しむためには、現地の人々と交流しつつインドの文化や芸術に積極的に触れてみましょう。インドは映画や音楽などのエンターテインメントの国でもあるので、現代の文化を楽しむのもおすすめです。
また、インドの祝日には特別な料理を味わうこともおすすめです。ディワリには、甘いお菓子「ミタイ」が欠かせません。ホーリーの時期には、「グジヤ」と呼ばれるパイスイーツのお菓子が振る舞われます。
独立記念日には、「ジャレビ」と呼ばれる甘いお菓子や料理が登場します。祝日ならではのグルメを楽しむのも、インド旅行の醍醐味の1つです。
まとめ:インドの祝日は特別な祭りやイベントが豊富
インドの祝日を理解することは、より充実した旅行計画の作成につながります。ディワリ、ホーリー、独立記念日などの主要な祝日の由来や習慣を知り、関連する観光スポットやイベントを事前にリサーチしましょう。
祝日期間中の旅行にはメリットとデメリットがあるので、綿密な計画と道中の柔軟な姿勢が重要です。インドの多様な文化と伝統を体験できる特別な機会を、ぜひ大切にしてください。