インドのカラフルな春の祭典ホーリー祭の歴史と魅力・注意点を徹底解説

インドの文化を楽しみたいと考えている人の中には、現地のお祭りに参加したい人もいるでしょう。インドでも日本のように様々なお祭りが開催され、国内外の人が盛大に楽しんでいます。

今回は、インドの春を彩る一大イベント「ホーリー祭」の魅力について紹介します。ホーリー祭の由来、楽しみ方、注意点を知ることで、初参加でも十分楽しめるでしょう。

インドの歴史あるホーリー祭の世界へ、少しお付き合いください。

インドのホーリー祭とは?

色粉を浴びる観光客

まずは、ホーリー祭がどのような祭りなのかを解説します。

  • ホーリー祭の起源と意味
  • ホーリー祭に関連する神話と伝説
  • ホーリー祭の開催時期と期間

2024年のホーリー祭は終わってしまいましたが、来年に備えてしっかりと予習しておきましょう。

ホーリー祭の起源と意味

ホーリー祭は、インドの春を告げる古くからの祭りです。その起源は所説ありますが、ヒンドゥー教の神話に登場する悪魔王ヒラニヤカシプと、信心深い息子プラフラーダの物語に遡ります。

悪魔王は自らを神と称し、息子に自分を信仰するよう強要しました。しかし、プラフラーダは神への信仰を貫き通します。怒った悪魔王は、妹のホーリカーに不死の衣を着せ、プラフラーダを抱いて火の中に入るよう命じました。しかし、神の加護によってプラフラードは無事に火から脱出し、代わりにホーリカーが焼け死んでしまったのです。

この伝説が、善が悪に打ち勝つことを象徴するホーリー祭の由来とされています。人々が色粉を塗り合うのは、焼け死んだホーリカーの灰が降りかかったことを表現しているともいわれています。

ホーリー祭に関連する神話と伝説

ホーリー祭には、ホリカの伝説以外にヒンドゥー教の主神、クリシュナ神とラーダーの色粉遊びという伝説も残されています。

クリシュナは、幼少期に飲んだ毒が原因で青い肌だったと言い伝えられています。やがて、愛と慈悲と献身の女神ラーダーに出会い恋に落ちますが、クリシュナは自分の肌の色を心配しました。

ラーダーはクリシュナへの愛を打ち明け、クリシュナに自身の肌を違う色で塗ることを許したことが起源ともいわれています。

ホーリー祭の開催時期と2025年の開催予定期間

ホーリー祭はヒンドゥー暦のパールグナ月と一致しており、2024年は3月24日と3月25日の2日間でした。正確には、初日をホーリーと呼び、2日目はドゥルヘンディと呼ばれています。

ホーリー祭は地域や宗派によって日程や期間が異なることがあるので、現地に着いたら必ず祭りの日程を確認しましょう。現地に行ったのにホーリー祭が終わっていたとなっては意味がありません。

来年2025年のホーリー祭は、3月14日の予定です。

ホーリー祭の楽しみ方

カラフルな色粉

インドのホーリーは、多くの人で賑わい会場全体が盛り上がります。そんなホーリー祭の楽しみ方を紹介します。

  • 色粉を塗り合う「ギラギラ」
  • ホーリー祭の定番料理と飲み物

特に全身に色粉を掛け合う「ギラギラ」は、ホーリー祭を象徴するイベントの1つです。

色粉を塗り合う「ギラギラ」

ホーリー祭の最大の見どころは、街中で繰り広げられるギラギラと呼ばれる色粉合戦です。老若男女問わず、見知らぬ人同士が「ハッピー・ホーリー!」と声を掛け合いながら赤や青、黄色、緑、ピンクなど鮮やかな色の粉を顔や体に塗り合います。

色粉は町の露店などで購入できるので、観光客も気軽に参加できるのが魅力です。はじめは遠慮がちな観光客でも、一度色を付けられると誰もが笑顔で祭りを楽しめるでしょう。

必ず相手の様子を見て、「ギラギラ?」と一声掛けてから色粉を掛けるようにしましょう。

ホーリー祭の定番料理と飲み物

ホーリー祭の期間中は、家庭や露店で季節限定の料理が振る舞われます。中でも、定番はグジア(Gujiya)と呼ばれるインドの揚げ菓子です。

ココナッツやミルクでできた餡とナッツやドライフルーツなどを皮で包み、三日月型に成形して揚げたスイーツです。他にも、ナッツ類、ドライフルーツを混ぜ込んだタンダイというミルクドリンクなどのメニューが祭りを彩ります。

一方、バングーと呼ばれる大麻入りのドリンクを飲む習慣もありますが、衛生面や法律上の問題があるため観光客は注意しましょう。

ホーリー祭の代表的な開催地

色粉のスプレーを浴びる観光客

ホーリー祭は、インドの各地で行われています。その中でも、観光客におすすめな開催地は、以下の通りです。

  • マトゥラーとブリンダバン(ウッタル・プラデーシュ州)
  • プシュカル(ラジャスタン州)
  • バラナシ(ウッタル・プラデーシュ州)

それぞれの開催地ごとの特徴について解説します。

マトゥラとブリンダバン:クリシュナ信仰の中心地

ウッタル・プラデーシュ州のマトゥラーは、ヒンドゥー教の主神クリシュナの生誕地として知られています。隣接するブリンダバンは、クリシュナが幼少期を過ごした地と伝えられ、クリシュナ信仰の聖地となっています。

最も盛り上がるのがブリンダバンにあるバンケ・ビハリ寺院で、中はコンサートさながらの熱気に包まれるのが特徴です。寺院や街中では信者たちが「ハレー・クリシュナ!」と唱えながら踊り、色粉を塗り合います。

特に、ホーリー祭前夜に行われるホーリカー・ダハンの儀式では、クリシュナにまつわる伝説劇が奉納されることもあります。ターバンを巻いた信者たちの熱狂ぶりは圧巻です。

プシュカル:聖なる湖での特別なホーリー祭

ラジャスタン州のプシュカルは、ヒンドゥー教の聖地として知られる町です。中心部にあるプシュカル湖は、宇宙の創造者・ブラフマー神が蓮を落として作られたと伝えられ、沐浴すれば罪が消えると信じられています。

この聖なる湖を舞台に、ホーリー祭ならではの活気ある光景が広がります。湖の周囲で色粉を塗り合う人々に加え、ノリの良いBGMで会場を盛り上げるのがプシュカルの特徴です。

また、プシュカルでは満月の夜にホーリカー・ダハンが行われた後、湖で沐浴する信者の姿も見られます。夜明け前、静寂に包まれた湖面に灯される数千の灯明は幻想的な雰囲気を醸し出します。

バラナシ:最も過激なホーリー祭

ウッタル・プラデーシュ州にあるバラナシのホーリー祭は、朝から晩まで続く壮絶な色粉合戦が有名です。狭い路地に人々が密集し、息つく暇もなく次々と色粉を投げ合います。

まるで色の嵐に包まれたかのような眺めは、初めてホーリーに参加する人には圧巻の一言でしょう。通りには、ショールの上に山盛りの色粉を乗せた露店がずらりと並びます。

興奮のあまり我を忘れたかのように色粉を塗りたくる若者たちの歓声が、古都に響き渡ります。そんなバラナシの過激なホーリー祭は、参加者の心構えも必要です。

狭い路地に人が殺到するため、将棋倒しなどの事故も起こりやすくなります。さらに、夜になると暴徒化する人もいるため、遅い時間の参加は控えた方が無難です。

体調管理を怠ると脱水症状などのリスクも高まるため、こまめに水分補給を心がけましょう。

ホーリー祭への参加方法

色粉を持つ子ども

ホーリー祭に参加するためには、現地ツアーに参加するか宿泊先やイベント情報を基に参加する方法があります。特に、インドに不慣れな人は現地ツアーに申し込んで参加した方が安全でしょう。

現地ツアーに参加する

ホーリー祭への参加を検討する際は、まず自分の目的に合った開催地を選ぶことが大切です。クリシュナ信仰の聖地を巡りたい人はマトゥラやブリンダバン、聖なる湖での特別な体験を希望する人はプシュカル、過激な祝祭を楽しみたい人はバラナシなど各都市で祭りの規模や特色が大きく異なります。

スムーズにホーリー祭を体験するなら、現地の旅行会社が企画するツアーがおすすめです。経験豊富なガイドの解説を聞きながら、ホーリー祭の見どころを効率良く巡れるためです。

ツアーの内容は日帰りの祭り体験から、複数都市を巡る周遊プランまで様々用意されています。宿泊先の手配や交通手段の確保など、面倒な準備は旅行会社に任せられるので、初めてのインド旅行でも安心です。

人気のツアーは早期に予約が埋まってしまうこともあるので、興味のある方は早めの申し込みがおすすめです。現地発着のツアーから日本からのパッケージツアーを扱う旅行会社まであるので、自分のスタイルに合った方法を選びましょう。

宿泊先やイベント情報を確認する

ホーリー祭シーズンのインドは、国内外から多くの観光客が訪れるハイシーズンです。人気の宿泊施設は1年近く前から予約が埋まり始めるため、早めの手配が欠かせません。

航空券と合わせてホテルも確保できる旅行会社のパッケージツアーを利用するのも、不慣れな観光客にはおすすめの方法です。自由度を重視したい場合は、開催地の観光局公式サイトやブッキングサイトを活用しましょう。

参加予定の時期に合わせて早めに候補をリストアップし、口コミをチェックしながら比較検討します。万が一のキャンセル規定まで念入りに確認して、計画的に予約を進めることが大切です。

また、ホーリー祭の詳細スケジュールや見どころは、わかりにくい部分も多々あります。現地の観光局や宿泊先のスタッフに問い合わせたり、旅行者専用の口コミサイトやSNSの最新投稿をウォッチしたりしておくと、意外な穴場スポットが見つかるかもしれません。

ホーリー祭参加時の注意点

ホーリー祭を楽しむインド人女性

ホーリー祭に参加する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 貴重品の管理と盗難防止
  • 色粉や水掛けへの対策
  • 現地のマナーとルールを尊重する

特に人混みでスリが多発するので、貴重品の管理は徹底する必要があります。

貴重品の管理と盗難防止

大勢の人が集まるホーリー祭では、スリなどの軽犯罪も起こりやすくなります。現金はなるべく必要最低限に抑え、財布はかさばらないものを選ぶことが大切です。

現金はポケットに入れておくよりも、肌身離さず持てるポーチやミニバッグがおすすめです。

特に、人混みでスマートフォンを取り出すのは絶対にやめましょう。操作が終わったらすぐにしまわないと、スリの標的になってしまいます。

宿泊先が安全そうでも、貴重品はフロントの金庫に預けるのが賢明です。パスポートや航空券、大きな現金などの貴重品は絶対に部屋に置かないようにしましょう。

また、女性の場合は露出の多い服装は控えめにしないと危険です。華美なアクセサリーも身に着けず、ボディラインの出ない格好を心がけることが大切です。

人混みに紛れて女性に接触しようとする人もいるので、周囲への注意は怠ってはいけません。

色粉や水掛けへの対策

ホーリー祭の醍醐味である色粉や水の掛け合いは、見ず知らずの人とも一体感を味わえる魅力的な体験です。しかし、度が過ぎた行為に巻き込まれないよう、いくつかの対策が必要です。

まず、色粉から目を守るためのゴーグルやサングラスは必ず装着しましょう。粉が目に入ると痛みを感じるだけでなく、ひどい場合は眼球に傷がつくこともあるためです。口の中に入らないよう、大声を出したり口を大きく開けたりするのも避けた方が無難です。

また、色粉や水を掛けられることに同意しない人もいます。相手の様子を見極め、嫌がっているようなら無理強いしてはいけません。事前に必ず声をかけるのも大切です。

現地のマナーとルールを尊重する

ホーリー祭には、私たち外国人には馴染みのない風習やルールがあります。楽しいお祭りだからと言って、現地の人を不快にさせるような行為は厳禁です。

例えば、寺院など聖なる場所に入る際は、肌の露出は控えめにする必要があります。靴を脱ぐことを求められたら、素直に従いましょう。

また、無許可で建物内に立ち入ったり、聖像や祭壇に触れたりするのもタブーです。

色粉や水を掛け合うのは街中だけにし、店舗や民家の中には持ち込まないようにしましょう。知らない人の持ち物を色粉で汚すのも、やめた方が無難です。「ホーリー祭だから何をしてもいい」という考えはトラブルを招きます。

現地の人に教えを乞いながら、感謝の気持ちを忘れずに異文化交流を楽しみましょう。「NO」をはっきり伝えることも、時と場合によっては必要です。

ホーリー祭に関するよくある質問

色粉に染まった外国人旅行客

日本人にあまり馴染みのないホーリー祭は、ルールや楽しみ方を知らない人も少なくありません。以下、ホーリー祭に関するよくある質問を集めてみました。

  • ホーリー祭で女性が注意すべき点はありますか?
  • ホーリー祭に使われる色粉の成分は?

特に、安全に関する質問が多く寄せられています。

ホーリー祭で女性が注意すべき点はありますか?

ホーリー祭は男女問わず楽しめるお祭りですが、女性の参加者は以下の点に注意が必要です。

  • 露出の多い服装は避ける
  • 知らない人からの接触に注意する
  • 夜間の一人歩きは控える

ホーリー祭は色粉まみれになることを考慮して、肌の露出は最小限に抑えましょう。体のラインが出すぎるタイトな服よりも、ゆったりとした服装が動きやすくておすすめです。

また、興奮冷めやらぬ男性参加者の中には、祭りに乗じて女性に絡んでくる人もいるかもしれません。もし不快な接触を受けたら、はっきりと拒否の意思を表示しましょう。

笑顔で返したりうやむやにしたりしてしまうとさらに被害が深刻になる可能性があるので、絶対にやってはいけません。

大規模なホーリー祭になると、祭りが深夜まで続くこともあります。人が多いからといって女性は一人歩きをしてしまうかもしれませんが、危険です。できるだけ複数人で行動し、祭りを楽しむようにしましょう。

参照:インドでレイプ事件が多い原因は?過去の事例と5つの対策についても解説

ホーリー祭に使われる色粉の成分は?

ホーリー祭に使われる色粉の成分は、ハナモツヤクノキの花などの原料を天日に干して粉末状にしたものです。基本的に色粉には自然由来のものを使用していることが多いので、それらは肌に触れても問題はありません。

しかし、「グラール」と呼ばれる化学染料粉や、泡が出るスプレーなどは健康被害が報告されることがあります。心配な人はすぐに洗い流すなどの対策を考えましょう。

まとめ:インドのホーリー祭は事前準備をするとより楽しめる

ホーリー祭のイベント会場

インドのホーリー祭は、毎年春に行われる伝統的な祭りです。各地の会場では色粉を掛け合って祭りを楽しむ人で賑わっています。

海外からもホーリー祭に参加するために訪れる観光客もいますが、現地は人で溢れかえっているので特に女性は性被害に遭わないように対策が必要です。ホーリー祭に興味を持っている人は、現地ツアーなどを利用して安全にホーリー祭を楽しんでください。

インドにはその他にも大きなイベントがあるので、祝日や記念日のイベントに参加したい人は以下の記事を参考にしてください。

参照:【2024年版】インドの祝日を全公開!祝日の旅行計画の立て方を解説