「インドと中国の関係はどうなっているの?」
「インドか中国どちらに進出した方がいいの?」
このような疑問を持っていませんか。
インドと中国はアジアの中でも経済発展が著しく、2国が協力することで今後の世界経済に功績を残すでしょう。しかし国境問題や過去の紛争などで、インドと中国は協力体制ではありません。
本記事では、1950年代から今までのインドと中国の関係について紹介します。また海外進出する場合は、インドか中国のどちらが良いかも解説しています。
インド進出か中国進出で迷っている方にとって必見の記事なので、ぜひ参考にしてみてください。
中国とインドの関係は友好か対立か
中国とインドの関係は友好か対立かについて紹介します。結論からお伝えしますと、以下のとおりです。
- かつてはインドと中国は友好関係
- 国境問題による対立関係
- 2020年に再度国境紛争へ
それぞれ順番に解説します。
かつてはインドと中国は友好関係
1950年代はインドと中国は友好関係でした。第二次世界大戦が終了した後に、アジア州やアフリカ州では次々と独立しました。1955年に独立国を集めた「バンドン会議」ではインドと中国との間で「平和五原則」の声明が発表されました。平和五原則とは以下の5項目を守ることです。
- 領土保全及び主権の相互不干渉
- 相互不侵略
- 内政不干渉
- 平等互恵
- 平和的共存
当時、インド首相と外務大臣の両方を兼務していたネルー氏は中国に訪問、中国首相の周恩来氏はインドに訪問しています。このときはインド国民と中国国民は「兄弟のような存在」として見られていたそうです。
国境問題による対立関係
インドと中国で切っても切り離せない問題が国境問題です。インドと中国の国境線は約2000キロあります。国境線は正式に定められていませんが、インドと中国には、昔からある伝統的な境界線が存在しています。
1900年代にインドを植民地化していたイギリスは、中国のチベットを手に入れました。インド独立後もチベットはインドの領土として残っていたため、中国はインドに返還を求めました。しかしインドから返事がないので、1962年10月にインドと中国の国境紛争が起こりました。
当時インドのネルー首相は以下の考えで紛争に至ります。
- 中国はソ連の関係が悪化
- 中国はアメリカを牽制
よってソ連とアメリカから支持されると考えましたが、うまく活用できず中国の勝利で終えました。
その後インドと中国は停戦し、国境問題は落ち着きを見せました。
2020年に再度国境紛争へ
国境問題は落ち着きを見せていましたが、2020年6月にヒマラヤ西部でインド兵士と中国兵士が衝突します。インド兵士20人、中国兵士4人が死亡したことで、関係は一気に悪化します。
軍事・外交面の会議が行われて、約3,000キロに及ぶ国境問題は現在は平静さを取り戻しています。しかし部分的な衝突が続いています。
またインドで行われたG20首脳会議では、中国の習近平国家主席が欠席でした。ロイターによると、ヒマラヤ山脈での国境問題は軍事的に対立しており、インドと中国の国境問題が解決しなければ、それ以外の問題や課題で両国の関係を前進させることが困難であると言われています。
参照:ロイター|焦点:習氏のG20欠席で中印関係さらに悪化か 深まるアジア2大国の亀裂
【進出関係】インドと中国ではどちらがおすすめ?
ここでは、日本企業がインドか中国どちらがおすすめなのかを紹介します。結論からお伝えすると、インドがおすすめです。なぜおすすめかを以下の順番で解説します。
- 中国の半導体市場の低迷
- メイク・イン・インディアの効果
- サプライチェーンの再構築
進出を検討する指標にもなるので、ぜひ参考にしてみてください。
中国の半導体市場の低迷
中国の半導体市場はかなり大きく、半導体を使った商品を製造するために、中国進出した外資企業は少なくありません。しかし2022年10月にアメリカのバイデン政権が「半導体輸出禁止通達」を発表しました。この通達によってアメリカの半導体製造機を使用して生産された半導体チップを中国は入手できません。
半導体チップが入手できないと、中国の人工知能や自動運転、スーパーコンピュータなどの先端技術企業は運営ができなくなります。
日本企業をはじめ、各国の企業取引にもっとも大きな影響を与える規制強化です。アメリカの半導体技術を活用する中国の半導体企業との取引を中止するでしょう。
メイク・イン・インディアの効果
モディ首相は2014年に「メイク・イン・インディア」を掲げています。これは雇用を作り出すこと、貿易赤字の縮小から製造業の発展を図っています。インド政府は製造業のGDP割合を2025年に25%に引き上げる目標を掲げて、外資企業の投資を促進してきました。
2020年には、インド国内で生産した商品の売上高増加に応じて、補助金を出す「生産連動型優遇策」を導入しました。例えばエアコン部品を生産しているダイキンや日本電産などが選ばれています。
インド政府が外資企業に向けて多くの分野を開放し、投資を積極的に促進したので、日本だけでなく、アメリカなどの外資企業もインドへの投資を拡大しています。
このようにインドは外資企業を積極的に迎えています。
サプライチェーンの再構築
世界のサプライチェーン再構築がインド進出に良い影響があります。アメリカと中国の対立やウクライナ情勢から、サプライチェーンが分断され、国家間で機能できません。
アメリカは日本と組んで、中国をサプライチェーンから外す動きがあります。実際にアメリカのバイデン大統領が5月に日本やインド、アメリカなど14カ国で新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み」を創設しました。この枠組みは半導体などの在庫融通ができる仕組みを構築するなど「脱中国」を目指しています。
また外国企業はサプライチェーンの再構築に向けた動きを強めており、投資先や生産拠点を、インドにする動きがみられます。
日本企業だけでなく、その他の外資企業もインドに移転する動きが始まっています。
日本企業はインド進出に向いている
インド進出を試みている各国の企業はたくさんありますが、とくに日本企業はインド進出に向いています。その理由は日本が得意としている自動車製造と食品メーカーがインド市場では成長しているからです。具体的には以下のとおりです。
- インドの自動車市場が発展しているから
- 食品メーカーの市場が拡大しているから
インドでは自動車製造が活発化しています。これは日本の自動車分野で活躍できるかもしれません。インドはインフラを整備し、完成すると自動車市場が一気に高騰します。よって多くの利益を見込めます。
また食品も市場拡大しており、大手食品会社「キッコーマン」は今やインドの主力商品です。会社では、インドでのしょうゆの販売事業は2029年までに売り上げを毎年10%以上伸ばしたいとしています。
キッコーマンの茂木修国際事業本部長によると、インドで商品、そしてブランドを定着させることで、数十年間は力を生かせられると述べていました。
参照:NHK|日本企業に有望な進出先を調査 インド2年連続首位 中国は3位に
まとめ:インドと中国の関係性をみて進出を判断しよう
インドと中国は対立関係なので、今後どんな動きになるのか注目されています。進出する際は、インド経済だけでなく、インドと密接にかかわっている国の動きを把握しましょう。
現在、中国は半導体の生産ができません。それに伴って外資企業は脱中国でインドに移転することを目指しています。とくに日本企業はインドとの相性が良いので、大きな利益を上げられるだけでなく、インド経済にもに貢献できます。進出を検討している方は世界情勢を加味した上で、判断しましょう。