インド出張に必要なビザと持ち物リスト|出張する際の注意点も解説

経済発展が続くインドには、日本から出張するビジネスパーソンが増加しています。しかし、文化や国民性の異なるインドでは、予期せぬトラブルに見舞われることも少なくありません。

本記事では、初めてインドへ出張へ行くビジネスパーソン向けにビザの取得方法や持ち物リスト、注意点まで解説します。インド滞在をより快適にするために、ぜひ参考にしてください。

インド出張に必要なビジネスビザ

ビザと世界地図

インドに入国する際は、目的や滞在期間に応じて適切なビザが必要です。そこで、インド出張に必要なビザの種類や取得方法、申請手続きについて詳しく解説します。

ビザの取得は出張に必須なので、早めに手続きを進めましょう。

インド出張に必要なe-Business Visa

e-Business Visaは、1回の渡航で最大180日間滞在できるビジネスビザです。e-Business Visaを取得すると、会社設立や打ち合わせ、売買や展示会への参加ができます。

ビザを取得してから1年以内に入出国しないと期限が切れてしまうので、注意しましょう。有効期限内は複数回入出国が可能です。

e-Business Visaを取得する際は、パスポートの残存期間が6ヵ月以上必要です。e-Business Visaの申請は、少なくともインド入国の4日前までに行いましょう。

e-Business Visaの取得方法

e-Business Visaを取得する際は、以下の書類やデータが必要になります。

パスポート顔写真ページのPDFファイル解像度は350px × 350px以上ファイルサイズは10KB~1MB
所属会社の名刺のPDFファイルカラーファイルサイズは10KB~1MB
パスポートの所持人記入欄ページの画像データパスポート発行地の確認で必要
証明写真の画像データJPEGファイルカラー350px×350pxファイルサイズは10KB~1MB
訪問先企業からの招聘状のPDFファイルカラー

e-Business Visaはインド内務省のホームページから申請します。

申請書には正確な情報を記載し、パスポートと情報が一致していることを確認しましょう。誤った情報を記載すると、ビザの発行が遅れるか申請が拒否される可能性があります。

ビジネスビザの取得には時間がかかることがあるため、余裕をもって出発の2週間~1週間前には申請してください。

インド出張に欠かせない持ち物リスト

パソコンとクレジットカード

インド出張では、日本と異なる気候や文化、ビジネス環境に対応するために以下の持ち物を用意しましょう。

  • クレジットカード
  • 風通しの良い衣類と靴
  • 懐中電灯
  • 常備薬
  • 海外旅行保険
  • ポケットWi-Fi
  • 変換プラグ

特に、海外旅行保険と変換プラグは忘れやすいので注意が必要です。

クレジットカード

インドでは、多くの場所でクレジットカードが利用できるので、渡航時に忘れずに持参しましょう。クレジットカードが使えると支払いをスムーズにできるので、外出時に役立ちます。

現金しか使えない場所や店舗もあるので、インドルピーへの換金も忘れてはいけません。インドルピーの換金レートが高い場所は、以下の記事で解説しています。

参照:インドの通貨ルピー(INR)のレートは?両替方法やルピーの注意点を解説

風通しの良い衣類と靴

インドは暑さや湿気が厳しい場所もあれば、寒冷な地域もあります。

冬の北インドはウール素材の服やアウターが必要ですが、それ以外の場所では気温が日本よりも高くなるため、吸湿速乾性のある素材の服や軽量で通気性の良い靴がおすすめです。

フォーマルな服装が必要な場合も、夏用のスーツも用意しましょう。

懐中電灯

インドでは日本のように全ての場所に街灯が設置されているとは限りません。夜間の外出は基本的に推奨されていませんが、万が一の事態に備えて懐中電灯を持参しましょう。

また、インドは電力不足になりやすい地域があるため、懐中電灯は停電時にも役立ちます。

常備薬

現地の水や食事に慣れない日本人はお腹を壊しやすかったり環境変化のストレスで免疫が低下したりするので、胃腸薬や解熱剤、風邪薬などの常備薬は必需品です。

常備薬があれば、体調不良になった際も応急的な対応ができます。

また、インドは感染症のリスクが日本よりも高いため、マスクや消毒用アルコール、ウェットティッシュなどの衛生用品を用意しておくと安心です。

海外旅行保険

海外へ渡航する際は、海外旅行保険への加入がおすすめです。現地での窃盗や事故、急な体調不良になった際も、補償の対象になるためです。

特に、初めてインドへ行く際は危険なエリアやトラブルの回避方法がわかりにくいので、保険に加入しておくと安心して滞在できます。

ポケットWi-Fi

ビジネスでインドへ渡航する際は、現地で仕事をする際にインターネット環境が必要になります。ホテルや相手先の会社にインターネット環境があれば良いですが、それも確実ではありません。

また、道を調べたりUberを手配したりする際もインターネット環境が必要です。出張する際は、海外で使用できるポケットWi-Fiをレンタルしてから渡航しましょう。

変換プラグ

インドの電圧は220/230Vが一般的なので、日本の電化製品はそのまま使用できません。コンセントのタイプも、日本はAタイプですがインドはA、B、B3、BF、Cとさまざまです。

ノートパソコンやスマートフォンを充電する際は、対応する変換プラグや電圧変換器も忘れずに持参してください。

インド出張がきついと感じる理由

インドの街

インドへ出張に行った人の中には、出張がきつかったという意見があります。日本人がインド出張できついと感じやすいのは、以下の場面です。

  • 慣れない食事
  • 衛生環境の違い
  • インド特有の交通事情
  • 日本とインドの時差
  • ビジネス習慣の違い

インド渡航前に対策を講じられるように、それぞれの理由を解説します。

慣れない食事

インド料理はカレー以外もスパイスをよく使うので、日本人にとっては刺激が強い場合があります。本場のインドカレーは日本よりも辛いことが多いので、食べ続けると胃腸に大きな負担をかけてしまいます。

また、インド料理は油分が多いので、より胃腸に負担をかけやすい環境です。インドでは日本料理や他国の料理を食べられる店舗が少ないので、慣れない食事が続くときついと感じてしまいます。

衛生環境の違い

インドの衛生環境は日本と大きく異なるので、不衛生な場所やトイレの状況に不快感を覚える人も少なくありません。

インドでは、路上にゴミが散乱していたり野犬が放置されていたりする光景を目にすることもあるでしょう。

また、飲食店の衛生管理が不十分で、食中毒や感染症になりやすい水道水を出されることもあります。

さらに、インド式のトイレは日本のような水洗タイプではなく、トイレットペーパーが設置されていないこともあります。インド式トイレの使い方や注意点は、以下の記事を参照してください。

参照:インドのトイレ事情|インド式トイレの使い方や問題点を解説

インド特有の交通事情

インドは人口世界一の国なので、道路の渋滞や騒音が日常的です。絶え間なくクラクションが鳴り響くのも当たり前の光景です。

車で移動する際は、混雑状況によって通常よりも多くの時間がかかることも珍しくありません。移動の際は余裕をもって行動しましょう。

電車やバスなどを使った都市間の移動も、インフラが整っていない地域では労力がかかります。インドで電車に乗る際の予約方法や注意点は、以下の記事で解説してます。

参照:インドの電車はドアが開けっぱなし?チケットの予約方法と注意点も解説

日本とインドの時差

インドと日本の時差は3時間30分あるので、短期間の出張では時差ぼけを起こす可能性があります。

昼夜が逆転することはありませんが、体内のリズムが崩れて寝付けなかったり十分な休息をとれなかったりすることもあります。

さらに、インドは地域によって気候が大きく異なるので、暑さや湿気、乾燥や大気汚染などの過酷な環境に適応しなくてはいけません。

特に南部の都市では年間を通じて高温多湿が続くため、体調管理に十分注意しましょう。

ビジネス習慣の違い

インドのビジネス習慣は時間に対する意識や契約の進め方、意思決定のプロセスが日本と異なります。例えば、会議の開始時間に全員が揃わなかったり定刻に会議が始まらなかったりする可能性があります。

遅刻を注意しても、インドでは多少時間に遅れることは日常的なのであまり意味がありません。相手との関係を良好に保つためにも、慌てずに相手の到着を待ちましょう。

また、インドの交渉スタイルは粘り強く、柔軟性が求められるため、これに適応するのが難しいと感じることがあります。

重要な交渉に赴く場合は、現地への出張経験のある上司などから事前にアドバイスをもらい、柔軟な姿勢で臨むと良い結果につながりやすくなります。

女性がインド出張する際の注意点

パソコンを操作する女性

日本人の女性がインドへ出張する際は、特に注意が必要です。インドでは男性優位な考えが根付いているため、差別を受けたり性被害に遭遇したりしやすいためです。

女性が安全にインド出張を終えられるように、注意点を解説します。

インド滞在中の服装の選び方

インド滞在中は、特に肌の露出が少ない服装が求められます。膝が隠れるスカートやパンツ、袖のあるシャツやブラウスを選びましょう。

また、スカーフ(ドゥパッタ)を携帯しておくと、肩や胸元の露出をカバーする際に便利です。現地に合わせた服装を選ぶことで、インド文化に敬意を払うと同時に身の安全も守れます。

夜間の外出は絶対にしない

インドでは夜間の治安が必ずしも良好ではないため、女性が1人で外出することは避けるべきです。

特に、暗い路地や人通りの少ない場所に行くのは避け、夜間の移動が必要な場合は、信頼できる交通手段を利用しましょう。インドの性被害の実情は、以下の記事で詳しく解説しています。

参照:インドでレイプ事件が多い原因は?過去の事例と5つの対策についても解説

現地でのタクシー利用時の注意点

タクシーを利用する際には事前に料金を確認し、可能であればUberやOlaのような信頼できる交通手段を利用しましょう。

客引きをしているタクシーは、割増料金を請求してきたり性犯罪に巻き込まれたりするリスクがあります。

その点、UberやOlaはルートの追跡やドライバーの身元確認が可能なので、トラブルに巻き込まれる可能性が低いのが魅力です。

また、タクシーに乗る前に車のナンバーを確認し、友人や同僚に共有しておくと万が一の事態でも追跡してもらえます。インドでUberやOlaを使いたい場合、以下の記事を参考にしてください。

参照:インドで安全にタクシーに乗るコツ|UberとOlaの使い方も解説

インド出張時によくあるトラブル

書類を確認するビジネスパーソン

インド出張に慣れていないビジネスパーソンは、現地でトラブルに見舞われる可能性があります。インドでのよくあるトラブルを紹介するので、渡航前に確認してください。

現地の法律や習慣に関するトラブル

インドには、日本とは異なる法律や社会習慣が存在します。特に、宗教やカースト制度に関連する事柄はデリケートな部分なので、ビジネスの場でも慎重に対応する必要があります。

若手中心のIT業界では、カースト制度にとらわれない考えの企業も増えてきましたが、業界によっては特定企業の独占や既得権益も存在します。

また、インドでは公の場での飲酒や喫煙が制限されている地域もあるので、現地の法律を遵守し、違法行為を避けるために現地スタッフに相談することも大切です。

飲酒が禁止されている州やお酒に関する法律は、以下の記事で解説しています。

参照:インドのお酒事情を徹底解説!有名なお酒紹介と旅行中の楽しみ方も解説

パスポートの紛失

インド滞在中にパスポートを紛失した場合、最寄りの警察署で紛失届を出し、紛失証明書を発行してもらいます。

その後、日本大使館に連絡し、「帰国のための渡航書」を発行してもらいましょう。手続きには、以下の書類が必要です。

  • 渡航書発給申請書(1通)
  • 紛失一般旅券等届出書(1通)
  • 紛失・盗難・その他被害届(1通)
  • 6ヵ月以内に撮影した写真(2葉)
  • 警察発行の盗難・紛失届証明書(1通)
  • 6ヵ月以内に発行された戸籍謄(抄)本、または、日本国籍が確認できる書類
  • 航空券、または、航空会社からの搭乗予約確認書
  • 緊急に日本へ帰国しなければならない事情説明書

写真と警察発行の盗難・紛失届証明書、日本国籍が確認できる書類以外は大使館に書類が用意されています。写真(縦4.5cm×横3.5cm)は、万が一の事態を想定して複数用意しておきましょう。

現地スタッフとのコミュニケーションの行き違い

文化や言語の違いから、現地スタッフとのコミュニケーションに誤解が生じることがあります。誤解を与えたと感じた場合、まずは冷静に状況を把握し、問題の原因を一緒に探る姿勢を示すことが重要です。

一例を挙げると、指示が正しく伝わっていない場合や、期待する成果に対する認識の違いがあります。

解決策としては、口頭だけではなく、指示や要望を明確に伝えるために書面で確認を取りながら進めてみましょう。

現地のビジネス慣習やコミュニケーションスタイルを尊重し、相手の立場に立って対応することで、信頼関係を構築できます。

インドで体調不良や病気になった場合

インドの気候や食事に慣れていない日本人は、体調不良や病気になることがあります。

特に、食中毒や感染症には注意が必要です。体調が悪くなった場合は、すぐにホテルや会社に連絡し、現地の信頼できる病院を受診しましょう。

海外旅行保険に加入していれば、保険会社の提携病院でキャッシュレス診療を受けられるため、保険証を常に携帯し、提携病院のリストを確認しておくと安心です。

インド出張は万全の準備をして行くとトラブルを回避できる

握手をするビジネスパーソン

インドと日本は文化や価値観が大きく異なるため、出張先でのコミュニケーションや食事などの場面で驚きや思わぬトラブルに見舞われる可能性もあります。

しかし、ビジネスパーソンとしては経済成長が著しく、労働力が豊富なインドほど魅力的な国はそう多くありません。

本記事で解説したビザの取得方法や必要な持ち物、注意点を参考にしてインド出張を楽しんでください。